肥育技術?
彼女は、身長160cm体重40kgという、とてもスリムな人だった。食べても太ることが出来ないばかりか、最近はあまり食べていなかったらしい。
ところが、島に来て半月が過ぎ、お腹が急に大きくなったような気がする。もちろん、お目出たではなく、食べ過ぎだ! 伊勢エビとか黒毛和牛のスキシャブやステーキサイズの焼き肉、寿司・・・。俺と同じだけ食べていたが・・・本人の申告は、便秘だけど・・・。
体重を計ってみたら、5.8kg増えていた。それでも、身長からすればとてもスリムなのだけど、お腹だけが大きくなった姿は、ちょっと・・・。
「いつも、人に会う度に痩せたねと言われて困っていたのに、こんなに太ったのは初めてだ! 母親でさえ、私を太らせることが出来なかったのに・・・。」
そんなに食べてないと主張しているが、半月で5.8kg太るのは、摂食料が多すぎることを意味する。俺と同じだけしか食べてないって・・・筋肉量がまるで違うのだから、基礎代謝だって全然違うでしょ?
牧場体験に来る大学生の二人も、来るたびにかなり太って帰る。食べ物が美味しいって言っていたけど、太ったからと言って苦情を言われても、当局は一切関知しません!
ユンボには、開拓するために木を挟める爪が着いていた。穴を掘るには、これをバケットに替えなければならない。一応やったことがあるけど、これほど大型のユンボは初めてだ。ひとつひとつの重さがハンパではないので、機材を置く場所の水平がずれると、アームの進入角度がずれて、入れるのが困難になる。
「出来ますか? 交換だけで、一日かかりますよ!」
そう言われたけど、やってみないと出来るかどうか判らないし、やらなければ遺体を埋められない。
すでに11時を過ぎていたけど、とりあえず工具を持って行ってみた。
ユンボは、北海道で俺が持っていたコンマ25と違って、かなり大型のものだった。パワーも重量も、まるで違う!
ただ、操作レバーの方式が、俺が以前所有していた日立とは違う方式になっていて、機体の回転と腕の曲げ伸ばしが逆になっていて、ものすごく戸惑った。腕を曲げるつもりが、回転してしまうのだから・・・。
それでも、バケット交換は二時間ほどで出来た。
ユンボを牧場に運び込み、作業開始。
やっぱりでかいし、力が強い! あっという間に大きくて深い穴が開き、遺体を埋葬した。