3月出荷

 3月出荷の朝である。だいぶ日が長くなったが、真っ暗なうちから牛舎に出かけ、出荷牛に餌を与える。うちの牛は、早起きの習慣がないので、声をかけて起こさないと、寝たままである。
 ちょっと明るくなったところで、廃用牛をトレーラーに乗せて、港に運び始める。歳をとった廃用牛は、引かれ慣れているので、引っ張るのが楽である。二頭ずつ乗せて運んだ。

 出荷子牛が食べ終えたので、捕まえて化粧モクシに取り替え、トレーラーに乗せた。今日の二頭は、とても扱いやすかった。
 出荷牛をコンテナにつないだ後は、一応ホッとする。留守にする牛舎の仕事を、船が出る時間までやる。ほ乳ロボット小屋や、離乳した子牛たちの健康チェックや、出荷でできた空き部屋に、子牛を移動させる仕事をした。
 船は、ちょっと揺れた。
 港では、なぜか軽自動車を貸してもらった。最近の軽は、なかなか良い走りをする。俺も、犬たちを乗せるのでなければ、島では軽で十分なんだよな。でも、大型犬を乗せた状態で、荷物も載せられる車種は、とても限られてくる。
 伊集院の鹿児島中央市場では、いつものように運ばれてきた牛たちを、各部屋に割り振りする作業をした。