荒れ模様

 牛舎の寒暖計は、−8℃を指していたが、風が強く寒かった。濡れた手に当たる風は、手を引き裂くほど痛い。水桶は、表面も壁面も底面も、厚さ3cmの氷で固められ、取り除くのが大変だった。下手に叩くと、バケツが割れてしまうのだ。
 こんな日は、除雪も大切な仕事だが、ユンボはバッテリー上がりでエンジンがかからず、運転席がむき出しのトラクターでの作業は、猛烈に寒かった。

 牧草ロールを運んだら、牛達が何か言いたそうな顔をしていた。雪のせいで、水場が埋まってしまっていた。スコップを持って、掘りに行った。何年か前は、積雪が150cmを超えて、ユンボでなければ掘れない時もあったから、それに比べればだいぶマシである。

 セリナへの、受精卵移植予定日だったので、獣医さん待ちだった。待っていると、なかなか時間は進まないものだ。シリンダーカッターの刃を取り外したので、急いで刃こぼれ修理に行かなければならないと焦っても、ジタバタするだけ無駄なのだ。寒い牛舎を引き上げ、一旦居間でくつろぐ。くつろぐと、獣医さんはすぐにやってくるのだ。
 セリナの黄体は、Bランクだそうだ。Bランクの受精卵を移植した。どうなる事やら・・・。

 刃を持って、結局鉄工所に行った。一応治るらしい。

 『単分子化水』を作る浄水器の話を聞いた。ネットで調べてみたが、どうも胡散臭い。
 水の分子がいくつか集まって出来るクラスターをバラバラにする事で、浸透性を高め、殺菌力が・・・?35億年前の生命が誕生した頃とほぼ同じ機能を持つ水?250気圧を24時間断続的にかけることでできる単分子化水が、浄水器を通しただけで出てくる?
 35億年前の水の性質をどうやって調べたのか?高圧を断続的にかけないとできないはずの単分子水が、どうして浄水器で出来るのか?『少しの素粒水(単分子化水)があると、その情報が瞬時にコピーされて・・・』ンな馬鹿な!

 何年か前に『ニューウェイズ』の商品の良さを力説されたことがある。市販の石けんや歯磨きには、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)という毒素が入っていて、これは皮膚を通り抜けて体に取り込まれ、ガンになる(経皮毒と言っていた)というものだったと思う。ここの説明ビデオには、化学的な知識があったらすぐに見破れる嘘が含まれていたので、穏やかに説得することが出来たが・・・。
 こういう製品の説明は、高校理科教師程度の理解力を持った人間が読んで解らない物は、インチキである可能性が高い。ちゃんとした物なら、判りやすく説明できるはずなのだ。
 ネットの記事を信じるなら、ニューウェーズやアムウェイの会員はほとんどが文系で、理系の人はとても少ないらしい。説明を見ていると、化学で聞いたような単語を使っているが、関連性が無く、無意味な場合が多いので、誤魔化されないのだ。

 人々の健康意識を逆手にとり、不安を煽って商売するなんて、ろくな会社ではないと思った。(Yone個人の考えです)