子牛の出荷 元六郎・綾次郎の引っ越し 子供が生まれた

抜けない!

 未明に目を覚まし、徐々に開け行く美しい朝の風景を楽しんだ。丘の稜線や白樺林が金色に輝き、しばし見とれた。
 
 元五郎と百次郎を出荷するために、枠の外に繋がなければならなかったのだが、不良牛の百次郎を繋ぐのに疲弊し、手がおかしくなった。もう絶対親牛に付けたりしないぞ!
 我が家では人口哺乳がほとんどだが、百次郎とナナミは親の母乳を飲ませた。ところが、あまり母乳が出ていなかったので、途中から強制的人工哺乳にしたので、この2頭は全く懐かない牛になってしまったのだ。(牛舎建設で忙しかったし)
 農協の職員に、カウストンのやり方を聞いたが、自分でやらないで獣医さんに任せるべきだそうだ。すごく参考になった。
 
 2頭分開いたので、元六郎と綾次郎を、大子牛の枠に引っ越しさせた。こいつらは、俺が引っぱると、大人しく着いてくるのだ。もちろん初めから人工哺乳!糞出ししていると、ベロベロなめてきて、すごく人懐っこい牛達だ。

 大急ぎでシャワーを浴び、綺麗な服を着て、病院に行った。実は、昨夜寝る前に、髭を剃り、髪の毛をバッサリ切ってあった。すごく不安だった。投薬のせいで、奇形の心配があったし・・・。
 病室には、Mikiが一人で寝ていた。無事産まれたそうだ。見た目には五体満足だそうだ。
 連れてきてもらい、おそるおそる抱っこし、その小ささと、赤ん坊とは思えない整った顔立ち(親バカ)に驚いた。静かな子で、イタズラしてもなかなか泣かない。泣いてもすぐに寝てしまう。こんなに静かで、大丈夫なのだろうか?
 しばらく抱っこしたり、触ったりした後、3人でちょっとうたた寝した。

 小児科の受付を見てきたが、瀬棚では吉岡医師一人がやっている仕事を、2人の常勤医師と、1人の外部派遣の医師でやっており(受付病室は1つ)、すごく不安になった。瀬棚診療所の灯を消してはならない!と心に誓った。
 村上医師が辞めるとき、
「医者の代わりはいくらでもいるって!」
と町長派のみんな言っていたが、今は、医者が自分の勤務先を選ぶ時代で、田舎では医者を選べる状態ではないのだ。お願いだからこの現状を理解して欲しい。
 
 村上医師と一緒に、地域医療について頑張ってきたI 課長が、別の課に転属させられていた。町長は、本気で「市町村国保運営安定化支援計画」に立候補する気があるのだろうか?旧瀬棚町の取り組みをモデルに作られたこの支援計画に、I 課長を外してどうするつもりなのか?全然危機感が感じられなくて悔しい!

 北桧山国保で、地域医療のまねごとをして、支援が得られると考えているのだろうか?町長支持者の方は、本気で瀬棚診療所を閉鎖し、北桧山国保を立て替えるつもりでいるのだろうか?医者は呼べませんよ!
 北大の看護婦さんも、
「瀬棚ってあの村上医師を辞めさせた町でしょ?大学病院でも医者が足りないのに、辞めさせて後釜が来ると思ってるのかしら?いくら町長が挨拶に来ても・・・」
と言っていたそうだ。

 無医村になった後に、町長を代えても遅いのですよ!今、町長の考え方を変えてもらって、いつでも医者が来る環境(研修医受け入れ制度)を、本気で取り入れなければ、実際にそうなりますよ!
 俺が、1月末に陳述書を出したとき、代わりの医者が見つからないと言ったが、町長はそれを無視した。実際そうなってますよね?
 財政難の町で、あんなに安く、命がけで働いてくれた医者を辞任させて、これからどうするつもりか?見守っていては、手遅れになるんですよ!

 俺がもし間違ったことを言っているなら、実名で資料と共にメールしてください。間違いだと確認したら、訂正し、謝罪します。
 
 子牛は、小さな穴があると、頭を入れたがる習性がある。くさび形をした頭をねじりながら入れるのだが、自力では出られないのだ!一度やれば覚えそうなものだが、何度も何度も繰り返すのだ!
 アカリとミノリを、元六郎たちのいた部屋に移動させ、開いた部屋を塩素消毒し、扇風機を取り付けて塩素を飛ばし、桃三郎とスズコを引っ越しさせた。桃三郎はなんの苦もなく哺乳瓶で誘導できたが、スズコはなかなか神経質で、バケツやネコに一々驚き、最後は力任せに放り込んだ(70kgくらいはあるかな?)。