静七郎
しずかから、段取り通報メールは来ていたんだ。だけど、駆けつけ通報メールには気がつくのが遅かった。
気がついて駆けつけてみたら、子牛は巨大すぎて頭が引っかかり、苦しくて露出した舌が鬱血し硬直して冷たくなっていた。
『死んでる!』そう思って産科テープを前足に巻き付け、引っ張った。
出てきたのは、これまで助産してきた子牛の中でも、トップクラスの大きな雄子牛だった。でも、動かない!
冷たくなりかけていた体をこすったりもみほぐしたりしていたら、目が動いた! 『生きてる!』
可愛そうに、顔も締め付けられて腫れ上がり、舌は硬直して根元の方は大きな水疱が出来ていた。産まれた後、口の中が紫色になったり・・・。
母牛のしずかも、大変だったろうに、必死に立ち上がり子牛を舐めた。 Yumiに、硬直してしまった舌をもみほぐしたり、体をタオルでマッサージしてもらっている間に、人工初乳を作ってストマックチューブで飲ませた。きっと元気に育ってくれるさ!
名前は、静七郎(喜亀忠産子)。