GTを捕った!

 出荷牛の引き牛調教は、市場で実際に牛を引くYumiが引けるようにならなければ、意味が無い。
 部屋から出すときは、ちょっとだけ手こずるのだけど、外に出てしまえば驚くほど素直に引かれるようになった。ロープをYumiに渡したが、三頭ともちゃんと大人しく引かれてくれた。
 
 シュノーケリングの講習もしなければならない!
 小坂本に連れて行った。
 キビナゴが黒い霧のように群れていて、視界がさえぎられた。その向こうには、ニザダイ、ブダイ、メジナ、ハマフエフキ、ギンガメアジなどが居て、キビナゴを狙っているようだった。
 ポイントまで、けっこうな泳力で着いてきたので、少し安心していた。ポイントに着いたら、俺は勝手に獲物を探した。お手頃サイズのハマフエフキが真下に来てくれたので、一気に潜って仕留めた。
「ちょっと上がって良いですか?」
どうやら、波に酔ったらしい。ちょうど、岩の上に上がれる場所があったので、そこで休んでもらった。近くに、アカジョウがいるポイントがあるので見に行った。いつもの大きなアカジョウが、俺を見て近づいてきたが、俺は脅かさないように距離を取った。アカジョウは美味しい魚だけど、捕りすぎて居なくなったら悲しいから、自粛しているのだ。たぶん、ここに潜る人は居ないから、本当に必要になるまで取っておこう!
 ギンガメアジメジナの大群が居るポイントに行ったら、その群れが一瞬散った。周りを見回すと、一匹のロウニンアジ(GT)が悠然と泳いでいた。ちょっと距離が遠すぎる。俺を意識しながら泳いでいたそのGTは、何を思ったか、大きな岩の穴に潜った!
 それを見て、すかさず岩穴の前に俺も潜行して、銛を構えて待った。果たして、GTは入っていったときと同じく、それほど速くない速度で穴から出てきたので、待ち構えていた俺は・・・。
 渾身の一撃は、首の骨に突き刺さり、GTは動かなくなった。
 
 帰りは、よって元気のなくなった彼女を気遣いながら、重たい獲物を引っ張って帰ったけど、途中で彼女の泳ぎに不安を感じたので、彼女も引っ張って帰った。