柱松 親諸子

 お盆は、まず柱松を立てる作業から始まる。例によって、防災無線を聞けなかった俺は、作業が始まる時刻を8時からと思っていて、牧場作業を早めに切り上げていってみたら、竹をしばる作業はほぼ終わっていた。とても気まずい。録音を再生すれば良いじゃ無いかとよく言われるけど、再生しても過去2件ぶんしか聞けないので、大事な内容は聞くことが出来ないことが多い。集落にいれば、どこに居ても聞くことが出来る放送なので、聞かない人が悪いって雰囲気なのだけど、放送が聞こえない牧場で働いている人の立場も配慮して欲しいなぁ! Lineで聞いたけど、返事が来たときは時すでに遅死だった。人手は、足りているみたいだったけど・・・。
 竹を束ねた柱、柱松を立てる作業に入る。柱を、何本もの棒で押し、少しずつ押し上げて立てていく。
 
 柱松が立ったら、魚を捕りに行く。釣りに行く人達は船が出たけど、素潜りをする船は出ないので、波風が強くてカヌーが出せない俺は、先日伐採した小坂本に行った。
 風は南風だったので、北にある坂本小坂本周辺の海は、それほど荒れていなかった。メジナが沢山居たけど、俺が欲しいのは別な魚だ。ハマフエフキがいたが、相変わらず射程に入ること無く、さっさと逃げていった。
 ちょっと大物が欲しかったので、西に向かって泳ぐ。湾の出口付近まで来ると、水深が深くなり魚の種類も一気に増える。ハマフエフキが沢山居て、試しに小細工なしに真上から一気に距離を詰めたら、ぎりぎり射程に入ることが出来た。65cmのハマフエフキを仕留めた。サメが怖いので、血抜きは後回しにした。
 大型のギンガメアジを仕留めたが、ストリンガーを持ってこなかったので、腰にしばってあったひもから外れて紛失してしまったけど・・・。カッポレを突いた。今度は、しっかり縛り付けて外れないようにした。さらに、アカジョウを見つけた。この段階で、俺の腰には魚が縛り付けられていて、身動きが不自由になっていた。アカジョウは、最初の出会いの瞬間は、『なんだこいつ?』と思ってこちらを見ようとするので、その時に距離を詰めて仕留めなければ、逃げ足が速くて突くことが出来ない。さらに、腰の獲物が邪魔ということは、もう十分獲物が居るから、欲張る必要が無いって事だ。いつまでも素潜り漁を楽しむためにも、乱獲は良くないかな? 急ぎ帰って、漁協の冷蔵庫に獲物を入れ、仕事に戻る。
 夜は、仕留めた獲物をみんなで食べるのだが、釣りチームがアカジョウを釣ってきたので、俺の獲物は余っていた。盆が開けてから食べてねということで、俺は手ぶらで出かけた。
 今日は、深いところまで潜ったので、疲れてしまって、あっという間に酔っ払ってしまった!