カヌーツアー下見

 いつもより早く牧場作業をして、カヌー講習会の座学に出た。講習を受けている人は、俺以外は自分のカヌーを持たず、あまり乗っていない人ばかりだったので、話をしていてかなり違和感を感じた。
 やがてはお客さんを案内できるようになるつもりなら、まずは自分が楽しいと思えるくらい乗って遊ぶべきだ! フェリーが出た後に、ちょこっと漕いでみよう!と提案してみたが、カヌーを借りる手続きが出来ていないって事で、使えるのは俺のカヌーだけだった。初めはY君を誘って行こうとしたのだけど、ジャンベ留学生がその気になってくれたので、彼は席を譲ってくれた。
 三人乗りで、港から東温泉に向かう。三人の力が合わず、なかなか船足が速くならない。おまけに、東風が吹いており、向かい風で消耗したかな?
 35分で東温泉前に着く。
「温泉に入れたら良いんですが、ただ漕いで、温泉にも入らずに帰るのは、ツアーとしては面白くない。移動として漕ぐ距離が長い。楽しみが少ない。」
といった意見が出た。彼らは、昨日漁船にカヌーを積んで、ダイナミックなポイントだけを漕いで堪能している。漁船が使えるのなら、美味しいとこ取りで良いのだけど、俺はちょっと複雑な思いがした。元々、山でも海でも、旅は苦労して行く課程にも楽しみがあると思っているから、たとえばエベレストの山頂に、ヘリコプターで運んでもらって行っても、自分の足で歩いて行った人の感動は得られない。
 なんてことを、頭が固いな〜〜〜って反省しながら考えていた。ただ、彼らが行ったポイントは、船足の速いカヌーを使っても、一般の人が行くにはかなりハードなので、ゆとりのある中高年世代のお客さんには、船をチャーターしたツアーも良いなぁ!って思えた。
 天狗岩を周り、帰りは25分だった。