農業機械士講習

 レンタカー屋さんに行き、二泊三日でビッツを借りた。
八代生まれの俺だけど(だから?)、山間部や農村地帯をドライブするのが好きである。
 川や水蒸気をあげる山、水田、畑・・・。植え付けてある作物や、実をつけた果樹などを見ながら、軽快に走るのがとても気持ちいい。東京やその近郊に住んでいたこともあるけど、目を引かれるのはそんな都会に残された畑や木々や鳥だったっけ・・・。ゴミゴミした都会は、俺の目には魅力的に映らなかった。
 
 県立農業大学は、日置市の吹上というところにあった。予定より一時間も早く着き、本を読んで時間をつぶす。
 農業機械士の講習は、トラクターにプラウを取り付けるところから始まった。俺は、普通にしていたことなので、みんながとても苦労しているのが不思議だった。プラウに曲がった位置でトラクターを止め、アジャスターを動かしても調整枠を超えているために取り付けられない。アジャスターの無い重たい機械に、誤差無くトラクターを止めないと取り付けられないような古い機械を扱うことが多かった俺は、不思議な感覚だった。こういうところに来て、あまり知ったかぶりをしても顰蹙を買うので、できるだけおとなしくしていた。