福姫次郎誕生

 福姫から段取り通報メールが来たのは、14日の夕方だった。明るいうちにお産になると良いな!って思っていたら、今日のお昼に、駆けつけ通報メールが来た。
 競りから帰ってきたYumiを迎え、軽くお昼を食べて牛舎に行ったら、ふくひめの陰部から太い前足が出た状態だった。ふくひめは一生懸命息んでいるけど、子牛が大きくて出てこない。しばらく様子を見ていたけど、助産することにした。
 ロープを持って部屋に入ったが、ふくひめは逃げることも無く簡単に鼻輪をつかませてくれた。子牛の前足に産科チェーンを着け、まずは体重をかけて引っ張ってみた。だけど、子牛は大きいし、俺の右手は怪我しているしで、全然出て来ない。しばらく頑張ったけど、滑車を使うことにした。
 八倍の力で引くことが出来る滑車を使い、ようやく引っ張り出した子牛は、大きな雄だった。名前は、福姫次郎になった。