ロール

 秋になり、牧草が少なくなってくると、牛は脱走するものだ。硫黄島では、鉄条網の腐食が塩と火山ガスの影響で猛烈に早いため、柵の補修は、なかなか追いつかない。
 二年前に俺が張ったバラ線が、ボロボロに錆びていたので、K君に回収してもらい、新しい線を張ってもらった。Yumiには、サビの浮いた支柱やバラ線に、さび止めを塗ってもらった。ちょっと延命になれば、幸いなのだけど・・・。
 
 俺は、二番草にレーキをかけて、丸める作業をした。
 ロールベイラーの自動給油ポンプを交換してから、まず外周をロールした。そのあと、内側をレーキしたので、綺麗に作業出来て、気分良かった。これまで、ロールをしばるラインを切る刃物が錆びていて、いちいち降りてカッターで切ったり、満タンになったのを目視してから、手動でラインを出したりしていたのだけど、整備して自動で出来るようになったので、作業がはかどった。
 ロールは、意外にも80個出来た。今年は、風に飛ばされてしまうことも無く良かったのだけど、ロールをしばるラインが、ちょっとだけ足りなかった。簡単に買えないのだから、在庫を持っていれば良いのだけど・・・。先日明けたばかりのドラム缶(200㍑)も、もう空になった。