雨の日の、種付け

 天気が悪くても、牛は発情する。
 足下が悪い中で、しかも雨に打たれながら、となりの牛の尻尾攻撃や後ろ回し蹴りから逃げながらの種付けは、困難が予想されたので、枠場に繋いだ。
 こんな日に限って、尻尾をしばる紐を、忘れてきたりする。
 ゴロウは、なぜかご機嫌で、濡れた草の上で、嬉しそうに転げ回っていた。