寿司パーティー

北海道で生まれ育ったゴロウにとって、硫黄島の暑さは殺人的だ。毎年、死にそうになっているのは、見ている側も辛い。そこで、保冷剤をタオルで包んで、首に巻いてみた。細かいことは気にしない性格のゴロウは、タオルを巻かれても平気で歩いていたし、ちょっと楽そうだったのだけど、藪の中で落っことしてきたようだ。もうちょっと、工夫が必要みたいだ。

 点滴したり種付けしたり、仕事も頑張ったのだけど、その合間に寿司の準備もする。
 包丁を研ぎ、鱗を引いて魚を解体し、サクにして氷温保存する。気温が高く、水道の水温も高いので、鮮度の保持には気を使う。1.1升のごはんを炊いて、握る一時間前に酢飯が出来ているようにお願いした。
 握る技術が無い分、基本はちゃんと押さえたい。魚の命に感謝しながらいただきたいのだ。
「旨かもんは、旨か〜って食わんと、罰の当たる!」
(本来美味しいはずの食材は、美味しく調理して、美味しいと感謝して食べないと、罰が当たる。)
 田舎の農家出身の親父だけど、こういう食に対するこだわりがあって、食に対して真剣だった。俺も、そういう点に関する教えは、忠実に守っているつもりだ。
 八朔踊りの練習を終えて帰って来たら、一時間前に炊けていたはずなのに、酢飯はまだ熱かった。女の人達には、いろいろ事情があるらしい(^_^;)
 手にくっつきやすいのだけど、みんなで頑張って、約150貫ほど握った。
 なかなか、評判が良かったと思う。ハタの吸い物が、絶品だった。