ローズ

 『何が何でも、今日は丸めるぞ!』 という覚悟を示してから、まず昨日刈り取った牧草の反転に出かけた。
 ところが、先に刈り取って、今日丸めようと思っている牧草を、レーキで集めていたところに連絡があり、午後から休みたいと・・・。今日は、休まれては困る。用事を済ませてから、来るように言った。牧草収穫時期は、当てにしているのだ。
 
 昼から、ロールべーラーをフォードに取り付けた。PTOの動力を伝えるシャフトの、両端のユニバーサルジョイント部分が壊れていたので、部品を探して修理した。電源を引っ張る接続カプラーも、変更したので取り替える。炎天下、焦っているとき、小さな部品をちまちま扱うのは、とても苛つく。
 とても良く乾燥しているから、草が厚いところも、ロールべーラーはベロベロ飲み込んで、丸めてくれた。途中、PTOのON・OFFを切り替えるレバーが、スカスカになった。中を通してあったボルトが、折れて無くなっていた。こんなとこ、外れないよ〜と文句を言ってもしかたない。採草地では、部品も手に入らないので、まわしっぱなしになった。
 更に、いつものことなのだが、ストリングカッターが錆びてボロボロになっており、なかなか切れなかった。
 それでも、7時くらいには終わらせることが出来た。終わる頃に、K君がやってきて、悲しい知らせを告げた。
「ローズが、死にましたよ!」
 一瞬、我が耳を疑ったが、後ろ足腰の悪いローズは、何があってもおかしくなかった。一年半前、突然まともに歩けなくなったローズ・・・。現場を見たわけでは無いけど、恐らくポパイを怒らせて、蹴られたか前足で踏みつけられたか・・・。その時は、安楽死も考えなければならないかと思ったけど、ローズは必死に歩き出し、彼女なりに気ままに暮らしていたように思える。
 2004年の11月に我が牧場の一員になって以来、ローズは厳つい顔に似合わず、とても人気があった。餌不足になった時は、竹の子や芋を送ってもらったこともある。元気な頃は、人も乗せることが出来た。深刻な悩みを抱えたときも、ローズを見ると、眉間にしわを寄せて考えているのが、馬鹿らしくなったものだ。
 いつでも、ベストの環境を整えてやれたわけでは無いけど、いつも、ブイブイ楽しませてくれた。ありがとう、ローズ。