朝から、種付けをした。北海道から連れてきたやすひめは、長期不受胎だったので、先日子宮消毒した。今回は、着いてくれると良いのだけど・・・。

 最近、調子が良くないK君と話をしてみた。
 俺は、人の弱さも知っているから、頑張れないこともあることも解るし、だからと言って頭ごなしに怒ることもできない。でも、原因を調べ、解決策を見つける方法は、一緒に探すことができる。
 いろいろ話し、アドバイスもできたかな? 仕事に集中してもらうために、ある提案もしてみた。
 
 この時期、たしかに牧場の仕事は、とてもきつい。冷房の無い炎天下の牧場で、滝のような汗を滴らせながら力仕事をする感覚は、やったことの無い人には想像着かないかもしれない。俺は、安全のために作業服を着ているため、直射日光に当たることは少ないけど、彼は裸なので余計に疲れる。話を聞くと、熱中症の頭痛も起こしているようだ。
 俺も、若い頃は、自分の体温調節能力には自信があったし、体力も満ちあふれていた。だから、センスレス(無感覚な人)と言われていたけど、今は古傷が痛む、ただのポンコツだ。無理しないで、働き続けるための方法は、自分なりに知っている。
 でも、誰かに喜んでもらうためなら、仕事の合間や早めに終わったところで、海に潜って魚を捕ってくる。K君には、なぜそんなことができるのか? 不思議なようだった。俺は、自分の体力の限界を知っている。働きながら、明日までに回復する程度の体力配分をしている。そこに、イレギュラーな素潜り(遊び)が入るのは、たしかにきつい。でも、誰かに喜んでもらうことで、俺の脳内には幸福物質が出てくるから、癒やされて疲れが取れるのだ。
 
 夕方、みんなで料理をした。
 俺が魚をおろし、刺身を引いた。現職お坊さんの留学生は、下味をつけた皮付きのイシガキダイやメジナで、ムニエルを作ってくれた、種子島から来た女性とMちゃんが、美味しい野菜料理を担当してくれた。
 主賓のY君一家が、玄米を炊いてやって来た。
 硫黄島では、イシガキダイの刺身は、『臭いから好きでは無い!』と言う人が多いのだけど、俺の説は、『取ったばかりのイシガキダイは、ちょっと癖があるし固いだけで味がしないけど、一晩置くと、落ち着いて匂いも無くなり、美味しくなる。』だ。みんなに、メジナと食べ比べてもらった。
 俺は、伊豆でよく捕っていた石鯛と同じで、とても美味しく匂いも感じなかった。みんなも、どこが臭いのか解らないと言っていた。メジナとの比較は、どちらも美味しく、甲乙つけがたい!との結論だった。ムニエルは、イシガキダイの方が評判が良かった。
 今日は、Y君の畑に、初めて種を蒔いたお祝いなのだけど、俺以外の参加者は、種まきの手伝いに行ってくれていたそうだ。あの広い畑に、一粒一粒手で植えるなんて、凄いなぁ! とても楽しい夜だった。