暑くて、肉体労働者には辛い一日だった。こういう日は、早朝と夕方働き、昼間は寝ているに限るのだけど、K君はちょっと調子が悪い。
 こんな暑い日は、牛もまいっている。子牛の部屋の前に、水を撒いて輻射熱を防ぐ。電柱牛舎には扇風機が無いので、みんなぐったりしていて食欲が無い。
 見回りに行くのも、早い時間で無いと集まらない。
 一通りのルーティンワークをすると、作業服は汗を吸って重くなっている。
 K君とY君は、これを裸で乗り切っている。本格的に暑くなる前に、一通り肌を焼いておくと、暑さにも虫にも耐えられるとか・・・。俺は、実践していないけど・・・。
 二人とも、わざと日向にいたりするけど、ときどき熱射病の症状が出たり、激しい頭痛が起こったりしているようだ。自分の身体を、過信しないように!
 
 Y君の畑を見に行ったら、紐を張って、種蒔きの準備をしていた。この広さを、手植えで頑張るらしい。頑張れ!
 
 夕方遅れてきたK君は、明日、Y君の硫黄島初種蒔き祝いをしようという提案に対して、俺に魚を捕ってくるよう進言した。
 暑くてうずうずしていた俺は、これ幸いって家に帰り、準備をして早速海に入った。
 晴れた夕方なので、沢山の魚が俺を見つけて浮上してきた。
「誰だお前?」
 最初の一尾を仕留めたとき、トラブル発生! 銛を高速で発射する、強力なゴムが切れてしまったのだ! 修理には、工具が必要だ。
「帰ろうかな?」
 そう思ったけど、明日の会のためには、最低6尾は必要だ。太いゴムを、強引に結び、一発だけなら打てる状態を確認した。銛の先が外れにくく、せっかく刺さったのに抜けてしまう状況も、刺さったらそのまま地面に突き刺し、潜って魚を抱きかかえて浮上するやり方で、解決した。
 一発撃つごとに、いちいち極太のゴムを結び直し、8尾のメジナと、大きなイシガキダイを一尾捕ることができた。
 良かった!