来客

 お客さんが来るというので、いつもより掃除の手に力が入る。
 K君は、敷地内の雑草を刈り払い、俺は大牛舎親牛側の、堆肥化した床を剥ぎ取った。分厚く堆積した床は、ホイルローダーでも進むのが困難だった。
 
 一度、刺身を引くために家に帰った後、牧場に引き返した。Mちゃんとその友人を、ポパイとソックスに紹介し、馬装した。腕前が判らないので、まずはポパイに乗ってもらい、俺はソックスで伴走した。
 ポパイは、しばらく仕事をしていないと、あまり人を乗せたがらず、初心者の指示では動かないのだけど、素直に馬放牧地の外周に向かう事が出来ていた。俺は、ポパイが怠けそうになった時、ソックスで後ろからプレッシャーをかけたのだけど、あまり必要無かった。軽速歩も普通に出来ていたし、巻乗りにも挑戦してもらったけど、出来ていた。
 これなら乗れるかなって思って、ソックスにも挑戦してもらったが、頑固者のソックスは、馬つなぎ馬の前からほとんど動かなかった。再びポパイに乗ってもらった。
 馬の背から、沈む夕日を見ることが出来た。
 
 俺は、途中からK君に交代してみた。彼は、一年前にポパイに乗って、乗馬を覚えたのだけど、ちゃんとソックスに指示を出して走らせることが出来ていた。姿勢も良いし、手綱さばきも良く出来ている。ソックスの駆け足は、ときどき騎乗者の腕を試すようなロデオになるので我慢してもらっているのだけど、ポパイに乗って力強く走って嬉しそうだった。
 
 家に帰り、メジナの刺身とムニエル、八丁味噌の豚汁を肴に、いろいろ歓談した。楽しかった!