食材調達

 良く晴れた、静かな日だった。これは、行くしか無いでしょ?
 仕事を前倒し気味に進める。
 脱走牛の移動や、出産間近の母牛を、放牧地から連れ帰る。放牧牛には、ダニ対策のバイチコールを塗った。種付けもした。
 
 昼休みに、坂本温泉に行った。明日、馬のお客さんが訪ねてきたとき、食材が不足しないように、魚を捕るため・・・という理由もあるけど、海が好きな彼女に、海亀を見せたかったという理由も大きい。
ギンガメアジに出会えたら良いなぁ!
 そう思いながら、海に入る。透明度は、期待以上! 温泉の濁りも少なく、綺麗な視界の中で、潜ることが出来た。
 何度も言うが、俺の銛は4mもあり、岩の隙間の穴にいる魚を突くには不向きで、回遊魚用なのだ。ギンガメアジとの遭遇を期待するのは、その為だ。でも、今日の俺の視界には、岩から出てきて『なにもの?』ってこっちを見ているメジナ(鹿児島では黒鯛という)が、あっちこっちに見られた。初夏のメジナは、警戒心がうすい。ちょろちょろ動いて狙いにくいけど、離れた場所から狙い撃ちした。
 取れたら、すぐにエラから口に紐を通し、エラを取って血抜きをする。
 わりと簡単に、7尾のメジナを仕留め、接客には充分な食材を入手できた。
 彼女は、海亀を見たし、魚の写真も少し撮れたようだった。