すえつむ誕生

 朝の6時に、一次破水を知らせるメールが、緑4だいだいから届いた。
 この子は、5月24日の出産予定だったのだが、20日になってもペチャパイで、お腹も凹んだままだったし、陰部も妊娠している兆候が無かった。流産したのかと思って、牛舎から出したほどだったのだけど、ここ数日で急に乳が張ってきた。昨日、段取り通報メールが届き、出産前の体温低下が見られた。
 お産は、遅々として進まなかった。俺は、他にしなければならないことをしながら、ときどき様子を見た。
 地域興し協力隊員のMちゃんが、出産を見たいって言っていたのを思い出し、連絡した。
 だいだいのお産は、なかなか進まない。せっかくだから、K君の助産練習台になってもらうことにした。産科テープを、前足に抜けないように引っかけ、やや下気味に体重をかけて引く。最期の瞬間、力を緩めるのを言わなかったので、子牛はペロリン!って出てきた。へその緒も正常で、大丈夫だったけど・・・。すぐに、へその緒を消毒してもらう。
 子牛は、鼻がヒクヒクしていたから、ブヒ子となろうとしたのだけど、それではあんまりなので、源氏物語からすえつむ(金幸福産子)となった。すえつむはなとしたいけど、文字が長いと苦情が来るので・・・。
 小さなすえつむは、なかなか立たなかったけど、100円の子牛用サプリメントを飲ませたら、わりとすぐに立ち上がった。そして、俺が人工初乳を持ってくる間に、親に吸い付こうとしていた。それをちょっと待ってもらって、人口初乳を飲ませた。せっかく溶かしたのだから、飲んでもらわないと勿体ないのだ。母親の初乳と両方飲むと、免疫力が更に上がって良いという結果もあるし・・・。