海!

 何となく疲れていたけど、海はべた凪だし、ちょっと晴れていたので、K君の勧めもあって、海に出かけたのだ!
 2.5人乗りシットオントップカヌーを、軽ワンボックスに積み込み、穴の浜に向かう。駐車場から海岸までは、勾配のきつい岩の道だ。そこを、くそ重たいカヌーを持って下りる。尋常ではない重さに、辟易する。
 ようやく波打ち際に着き、彼女を乗せて出航した。
 前回のカヌー行と違い、彼女はパドルに慣れていて、確実に漕いでくれたから、助かった。20分ほどの行程と思ったけど、ちょっと早めに着いた。
 潮が引いていて、以前上陸した場所には、落差が大きくて上れなかった。別な場所に停泊して、岩の上に引き上げた。
 海が大好きという言葉に偽りは無い。だけど、身体が慣れていない状態で潜ることに、とても緊張する。
 今日は、身体を締め付けないライトスーツで潜った。寝不足のせいもあるけど、身体が思うように動かない。
 去年の秋に、ホークと来たときは、エントリーした足下に、大きなハタが居たし、目の前にツムブリの群れがやってきて驚いた。でも、潮が引いているせいか? エントリーの場所には、めぼしい魚は居なかった。
 左回りで、瀬の岩を回り込む。潮流がキツイあたりに来たら、カスミアジが通り過ぎた。すごく良い獲物なのだが、なぜか射程距離に入ってくれなかった。ギンガメアジやカンパチと違って、愛想が無いのかな?
 イッテンフエダイの群れが、深いところを泳いでいた。この魚も、警戒心が強く、まっすぐ向かって潜ると、逃げてしまう。深いところで、じっと待つ戦法なら良いのだけど、今日の俺は吐きそうだった(^^ゞ
 更に深みには、目つきの冷たい大きなバラフエダイがいたけれども、潜っていったらやっぱり距離を置かれてしまった。不調だ! 巨大なロウニンアジも居たけど、一瞬で見えなくなった。
 メジナの群れが泳ぎ回っていたし、岩の隙間には更に大きなメジナが、沢山いた。だけど、俺の銛は4mもあるから、岩の隙間を突くには長すぎる。また、メジナは美味しいけど、わざわざこんな所まで来て捕る魚ではないって思っていたから、手を出さなかった。でも、期待していたギンガメアジやカンパチ、アカジョウには会えなかったから、メジナを狙うことにした。
 遠距離から、波に揺られながら、岩の隙間に居るメジナを狙う。大きな個体だけを狙いたいけど、それほど長い時間狙えるわけでも無いので、なかなか判断がつきかねる。もっと短い銛も、持ってくるべきだった。二尾だけ捕った。食べるには、充分な量だ。
 帰路についた。
 実は、泳いでいても、その場にとどまっていられないほどの潮流を感じる場所があった。こぎ出してみたら、潮流を遡行することになった。波も出てきたけど、一気に漕いだ。若干一名、『飽きた!』と言って漕ぐのを辞めようとする不届き者もいた。
 20分かからずに岸に着いた。
 ここからが、問題である。くそ重たい2.5人乗りシットオントップカヌーを、駐車場まで運び上げなければならない。大きな岩が転がるかなりの傾斜を、か弱い女性と二人で持ち上げるのは、かなりの体力を必要とした。『パワーこそ男の武器だ!』古いCMの台詞を叫びながら、必死に持ち上げた。
 運びながら、考えた。
 たった二尾のメジナのために、する苦労ではないな!
 それでも、沢山の魚を見せることが出来たから、よしとしよう!