福姫太郎誕生

 また、赤2ゆきえが黄165たのもしを伴って脱走した。通報を受けて探したけれど、脱走牛の行方が判らず、あっちこっち走り回ってしまった。
 結局、最初に見た灯台放牧地スタンチョン前に来ていたので、道路への出入り口を車で塞いで、灯台放牧地へのゲートを開けて追い込んだ。
 
 真面目に、柵修理に取り組む。修理道具を車に積み込み、古くなって切れ切れのバラ線を、新しい物に替えていく。支柱も朽ちているから、新しく立てる。とりあえず、気になるところは修理したけど・・・。
 
 白99ふくひめが、予定日まで一週間もあるのに、お産の兆候のような仕草をし始めた。今夜は長くなりそうだ!
 家に帰り、大急ぎで食事をして、ジャンベの個人レッスンを受けた。集団で教わると、さらりと流されてしまうところを、繰り返し練習しながら、フレーズを教えてもらった。
 
 そのまま、牛舎に向かった。
 ふくひめのお産は進んでおり、すでに前足と舌が見えていた。一度、着替えに帰り、引き返してからもしばらく見たけど、全然進まないので、ちょっと引っ張ってみた。すると、早産だから雌かと思っていたら、太い雄の足だった。
 産科テープを取り付け、体重をかけて引っ張る。雄は、顔がでかいから、なかなか苦労する。
 ようやく出てきたのは、大きな雄だった。福姫太郎(華春福産子)と命名。すぐに羊水を吐かせるために、後ろ足を持って逆さ吊りしたけど、重くて持ち上がらなかった。 大豆カスをまぶして、母牛に舐めさせ、へその緒を消毒する。ふくひめは、良いやつなので子牛に触っても、襲いかかってくることは無かった。
 人口初乳を飲ませ、母親の母乳を吸ったのを見届けてから、家に帰った。