夜中の2時に、駆けつけ通報メール届いた。発信主は初産のせんだ。コーヒーを飲んでから、駆けつけた。
 今宵は、こと座流星群だけど、雲が多くて見ることが出来なかった。
 せんの陰部から、足が見えていた。逆子では無い。しばらく様子を見たけど、全然お産が進行しない。産科テープを用意して、しばらく様子をうかがった。だが、一向に進まない。
 助産に入ることにした。テープを子牛の足に引っかけようとしたら、強烈な蹴りが飛んできた。危なく、まともに食らうところだった。
 子牛の前足にかけたテープを、全身の血管が切れるほど力いっぱい引っ張り出そうとしたが、全然出てこなかった! しかたない、助産用の八倍滑車を使ってゆっくり引っ張り、産ませた。
 生まれたのは、大きな雄子牛♪ 最近、雌ばかりだったので、ちょっと嬉しいな! 名前は、千太郎(喜亀忠産子)。
 千太郎は、なかなか立ち上がらず、母親からの初乳をすぐには期待できなかったので、人口初乳をほ乳瓶で飲ませたが、これもなかなか手こずり、帰ったのは五時半だった。
 
 一度寝て、ゆっくり目に出勤した。
 かえでは、俺がミルクを持ってくるのを、待っていた。相当お腹が減っていたらしく、2リットルのミルクを、おおかた飲み干した。これは、初めてのことだ。このまま元気になってくれたら良いのだけど・・・。