昨日、無理するんじゃ無かった。無茶苦茶体調が悪い!
 それでも、お産を控えた牛が居たから、トラクターに家畜運搬トレーラーを取り付け、迎えに行った。
 湾放牧地で、最初一頭しか牛が居なかった。ひとりで珍しいなって不審に思って見たら、はたして足下に小さな亡骸があった。調べてみたら、雄の子牛で、体重は5〜8kgくらいかな? 片手でひょいと持ち上がる軽さだ。お産予定日までもうちょっと会ったけど、これは予定日までお腹の中にいたとしても、小さすぎる。未熟児だ。俺が立ち会って無事に生まれたとしても、ちゃんと育つことは無かったかも知れない。
 まだ体調が悪いのに、突然降り出した雨で、パンツまでずぶ濡れになってしまった。天気予報は、ちゃんと見ようね。

 失われる命もあれば、生まれいずる命もある。
 三時半になって、赤16のぼると赤23しおりが、相次いで一次破水した。
 一時間後、のぼるはすみやかに小さな雌子牛を産み落とした。かえで(岡茂福産子)と名付ける。
 一方しおりは、二時間経ってもやっと足が出てきただけだったので、産科テープを着けて、全体重をかけて引っ張り、かなりの時間をかけてようやく生ませる事が出来た。こちらは、とても大きな雌だ。あおい(華春福産子)と名付けた。
 しおりは、あっという間に立ち上がり、すぐに母親の乳首に吸い付いた。これは立派だ! 大きな産子は、難産が多いために、生まれてすぐはボケッとしていることが多いと感じているけど、早めに引っ張り出したから楽だったかな?
 かえでは、とても弱々しく、なかなか立てなかった。