ポパイは無事

 結局、一時間も寝ることができなかった。
 眠ってしまうと、起きられない恐れがあったので、ウトウトした。
 4時になり、満を持して駅に向かう。カプセルホテル泊だったから、現金をも持っていなかった。でも、時間が無い時、頼りは現金だ! 日曜日の早朝、おろせるか不安だったが、杞憂だった! 飛行機をチャーターするつもりでおろした。
 始発列車を待つ人の中に、大きなザックを担いだ年配の女性がいた。どこの山に行くのかな? 若い頃に山登りしていた頃の記憶がよみがえり、我慢していたけれど乗り換えしても隣に座ったので、とうとう声をかけてしまった。
 すると、予約も無いけど飛行場に行き、始発便に空席があれば、安く乗れるらしく、福岡に行って○○山に登って・・・。なにやら、気ままで行動派で、楽しそうだった。俺も、北海道から引っ越ししてきた話や、ポパイの話をして、心配を紛らせてた。
 空港に着いて、俺は有人の窓口まで走った。先日、機械に挟んで痛めた足が、とても痛く腫れ上がってしまった。
 俺のチケットは格安だったので、本当は変更が効かないものらしかったけど、始発便には空席があり、実際支払いはされているし、ポパイの話が心を動かしたようで、何とかしてくれた! ありがとう!!
 空は、黄砂で霞んでいたけど、東京の方向はそれ以上に濃いスモッグが重たく覆っているのが見えた。人は、あんな空気の中で生きていけるんだと、ちょっと驚いた。
 飛行機の中で、いろいろ考えた。
 鹿児島到着は8時10分で、バスは8時30分発。これに乗っても、9時30分発のフェリーみしまには乗れない。でも、タクシーを飛ばせば、ギリギリ間に合いそうだった。
 鹿児島空港から、チャーター機で直接硫黄島に飛ぶ事も考えた。ただこれには8万円のチャーター料がかかるから、島に電話して、かなり重篤だけどまだ生きている時だけ使おうと考えた。
 飛行機は、20分遅れで鹿児島空港に着いた。携帯にメールが入っていて、ポパイは生きていると書いてあった。あまり詳しく書いてないけど、心配ないくらい回復したように感じた。だけど、電話しても通じなかったので、急いでタクシーに乗り込み、港まで何分で行けるか聞いたら、40分という答えだった。とにかくどんな返事が来ても対応できるよう、タクシーに乗り込み、スピード違反で捕まらない程度に、急いで欲しいとお願いした。運転手さんは、合点承知って急いでくれた。
 途中で、K君から電話があり、ポパイはすっかり元気になっており、餌を催促しているという。これは、帰る必要が無い! 運転手さんに、もう急がなくても良いって伝え、電車どおりで降ろしてもらった。
 結局、目的を果たさずに帰ってきたし、お金も沢山使ったけれど、ポパイが無事ならそれが一番嬉しいことなのだ!