目一杯な日

 今日は、種付けとか、出荷準備とか、出産とか、てんてこ舞いな一日だった。
 出産に関しては、昨日のうちに、段取り通報メールが二通届いていたから、今日中に二頭とも生まれることを望んでいた。明日の朝、出荷作業をして、船に乗り込む時間帯に生まれたら、目も当てられない状況になりかねないからだ。でも、二頭とものんびりしていた。
 
 昨日発情していた緑13たけひめは、卵胞が、有るような無いような・・・うっふん♪ なんのこっちゃであるのだが・・・夕方まで待つことにした。
 
 俺がいない間に、出産する可能性が有る三頭の雌牛に、牛温恵のセンサーを入れた。どの牛にどのセンサーを入れたか確認するために、時間差で入れるのだけど、セナに入れたセンサーからの信号がなかなか発信されず、壊れたのかと思って焦った。
 
 みつよ(忠茂勝)の駆けつけ通報メールが来たのは、お昼前だった。作業を終えて駆けつけたときには、すでに生まれていた。何とも安産で、子牛はすでに立ち上がっていた。安産だと、体力の消耗が少なく、子牛も早く立ち上がる。
 子牛は、雌だった。華春福の産子だから、後継牛として残したいと思ったが、後肢に白い班があった。残せないかもしれないので、大事な名前は着けられない。『せりな』にした。
 船で、硫黄島に畑作で入植したい夫婦が来ていた。
 火山ガスの影響や、孔雀がいる硫黄島では、畑作は難しいと思うのだが、本人の希望が強いので、応援したいと思った。
 
 出荷牛に、化粧もくしと番号札を取り付け、トラクターの準備をした。
 たけひめの卵胞が大きくなったように感じたから、種付けをした。今回は、直腸膣法では頚管を通せず、途中から頚管鉗子法に切り替えた。まだまだだな!
 
 夕方、かずえの子供が生まれた。この子も、とても安産で、あっという間に立ち上がり、母乳を吸った。あまりに動きが速すぎて、へその緒の消毒が難しかった。
 家に帰り、飯を作って食べ、出張の準備を始めた。パンツやシャツの枚数が足りなくて、なかなか準備は進まない。ちゃんと探せばあるのだけど、どこかに紛れているのだ。きっと・・・。
 夜中に、先ほど牛温恵を入れたばかりのとまとから、駆けつけ通報メールが届いた。ただの脱落かなって思ったけど、ちょっと時間を置いてから行ってみた。すると、すでに生まれていた。普通サイズの雌だ。名前は『みやび』(華春福産子)
 とまと(忠茂勝)は、明るい状態で俺が入ると、警戒しつつも、黙ってへその緒を消毒させたけど、暗い柵の外から、カメラを構えると、娘を守るために戦いをいどんできた! 母は、恐しなのだ!