子牛を連れた牛が居ましたよ!

 島には、綺麗な椿の畑(林)がある。赤い花は、冬の寒い時期に彩りを添えて、暖かい春の訪れを感じさせてくれる。
 椿は、種を採取して、椿油を絞る。椿山を持っている人は、林床を綺麗に整備して、落ちた種を探して拾いやすくしている。拾った種は、キロいくらで出荷される。
 先日、林床に椿の花が落ちている写真を載せたが、こうやってきちんと管理された椿畑だから見られる光景なのだ。
 
 新規で牛飼いを始めた人から、『子牛を連れた牛がいますよ。』って電話が入った。
 俺は、妊娠牛の出産予定を調べて、臨月に入った牛は、牛舎に連れ戻しているはずなんだけど・・・? 堆肥撒きをしていたトラクターを道路に置いて、急いで目撃情報の場所に駆けつけてみた。だが、それらしき姿は無かった。
 駆けつけたK君と手分けして探すが、付近には居なかった。
 俺は、その牛が通りそうなルートを予測して、竹藪の中に入ってみた。背丈を超える竹藪の中で、生まれたての子牛を見つけるのは・・・。闇雲に探しているわけでは無い。母親が、子牛に呼びかける声を出すのを期待して、歩き回っていたのだ。
 そして、その声を聞きつけ、急いで駆けつけてみたら、青18みゆきが居た。平静を装っていたけど、絶対怪しい。付近を探したら、生まれたての子牛がうずくまっていた。
 竹藪の中で、いきなり子牛を抱きかかえて連れ去ったら、いくら大人しいみゆきでも、黙っていないだろう。K君と二人で、後ろと横からプレッシャーをかけつつ、道路に向かって歩かせた。
 牛舎が開いていて、連れ帰るのが困難で無ければ、親子とも連れ帰ったのだけど、みゆきは途中から子牛とはぐれたと錯覚して、引き返してしまった。だから、子牛を抱きかかえて車に乗せ、小屋に連れ帰った。
 子牛は、元気な雌で、発見した場所には胎便が落ちていたから、母乳は吸ったはずだ。名前は『よもぎ』(岡茂福産子)。
 念のために、夕食後、人口初乳を飲ませに行った。