なんチューこった!

 昨夜は遅かったから、朝が辛い。
 獣医さんとは、8時半の約束だった。それまでに、一通りのルーティンワークを終わらせたい。そう思って頑張ったけど、ミルクを飲ませる時間は間に合わず、先生を待たせてしまった。
 黄色29けいこは、前回の発情でも、卵巣がとても小さいと感じていた。尻の皮が剥けて血が出るほど乗られているのに、卵巣も卵胞もとても小さく、種付けしても授精は難しいとか・・・。
 H12年生まれ。血統も古く、他の牛は太っている中、一人だけ痩せている。淘汰するべきなのかな?
 我が牧場は、高齢化が進んでいて、H8年の黄色16ふくふくは、先日妊娠が確認されたばかりだ。H10年のはるみは、足が悪くて、もし妊娠したら、次の出産まで歩けなくなるかも知れない。歩けない牛は、廃用としても出荷できないから、俺が薬を打って殺処分することになる。
 人間の勝手な解釈だけど、歩けなくなって殺処分されて埋められるより、最後にお腹いっぱい食べて、美味しい肉になった方が良いのではないか?って思う。
 同じく足を痛めた、ももかがいる。彼女は、北海道で俺が牛飼いを始めたとき、ちょうど日本で初めてBSEが発見された年で、市場価格は暴落した。そのときでも、全然値段が下がらなかった牛だった。
 俺は嬉しくて、毎日牛舎に入り浸り、体をブラッシングしてやった。だから、当時の牛達は、俺のことが大好きだ。
 ももかは、ボスでは無いけど、ボスのもとつぼより短時間ならケンカが強く、なぜか他の牛達に慕われており、発情した牛が居ると、いつも俺に教えてくれた。だから、北海道時代の繁殖成績は抜群だった。
 もうしばらく、様子を診よう!
 
 一人の時は、なぜかちょっと張り切って働く。
 500kgのエサ袋を、4つ仕舞っている容器がある。その容器の蓋を開けて、給仕用のタンクに移し替えようとしたら、餌が沢山こぼれていて、ネズミの糞が落ちていた。
 どっから入ったのだろう? 排水用の穴を調べたが、ちゃんとセンが閉まっている。どこから・・・。
 袋に穴が空いていて、餌がこぼれ落ちるのを覚悟で、ユニックの荷台に積み、タンクに移し替えた。かなりこぼれたし、エサ袋の中に潜んでいたネズミが、タンクの中を走り回っていた。
 『こいつか!』とりあえず捕獲して、犬たちに処分してもらった。
 被害総額は、数万円程度かな? こぼれた餌は、カラスやネズミを呼ぶので、ちょっと回収。黒豚ローズの餌となった。