牧場体験の親子が、今日の船で帰る。
 人にはいろいろ適正があり、牧場の仕事には向いていないようだ。
 島に上陸し、俺の家を見た瞬間、帰ろうと思ったらしい。気を取り直して、普段は使っていないから、それほど汚れていないと思われる客間の荷物を全部外に出して、バルサンを焚いてアルコールを噴霧して、除菌空間を作っていた。
 翌日は居間を食事を出来るように掃除した。それでも、牛舎を走り回ったゴロウとカイトが、足を拭いたといっても、居住空間に入ってくるのは容認できないらしく、どちらも可哀想だった。厭がられていると思うと、一生懸命解ってもらおうと努力するゴロウは、近づいていって悲鳴を上げられていた。食事の時は、食卓に近づかないことを教えたけど、突然のことで、戸惑っていた。
 牛舎に連れて行くのが難しいと感じ、無理には誘わなかった。実際、種付けをしている所を見て、卒倒するのでは無いかと心配したくらいだった。
 俺は、これ以上の居るのは無理と思って、帰ることを強く勧めたけれど、船が苦手で、片道日帰り航海で長時間乗っているのが苦痛ということで、今日まで延び延びになってしまった。
 多少環境にも慣れてくれたけど、『どんなに美味しい食事を食べても、(牛舎を走った犬が居る)衛生的で無い環境で食べると、美味しくない。』と言われたから、やはり適応は無理だったようだ。ごめんなさいね。俺は、大掃除したことで、とても綺麗になったと喜んでいるくらいなのですm(_ _)m
 気をつけて帰ってね(^_-)-☆