鎮圧ローラー

 種を蒔いたら、鎮圧しないと根が張りにくいし、フカフカの土だと作業しづらい! 雨が本格的になる前に、鎮圧したいと思いながら、牧場に向かった。すると、五頭の若牛達が道路を歩いていた。湾放牧地から、はるばる遠征してきたらしい。
 一人ではどうしようも無いので、一旦牛舎に追い込み、K君と二人で湾まで追っていくことにした。
 牛追いは、3人くらい欲しいな! 追うと逃げるけど、分岐があったとき、望む方向に逃げてくれる事は、滅多に無い! 放牧地と反対の、昨日種を蒔いた畑に逃げ込まれ、二人で追う。牛追いは、牛の動きを先読みして、走り出さないよう適度なプレッシャを与える事が大事だ。基本的に、一人では難しい。
 K君が、餌の袋を振って先導し、曲がり角などでは特に音を立てて振り、牛達を先導してもらった。採草地脇を通るときは、俺が放牧地側に走って、侵入しようとする気を削いだ。牛追いは、けっこう走るのだ。
 何とか戻した。脱走経路は、ちょっと見ただけでは解らなかった。
 
 雨が降り始めたけど、地面が本格的に濡れる前に、鎮圧したかったので、大急ぎで機械の準備をして、鎮圧に行った。フカフカの土は、重いローラーを引いた2WDのフォードがハンドルを取られ、なかなか進路を変えなかった。
 一週目は走りにくかったが、二週目の鎮圧では、けっこう固まっていて走りやすくなっていた。しっかり踏んだ方が、芽が出やすいのだ。
 
 バラ線柵を確認しに行った。
 全頭出るのは、よほど出やすい場所のはずだ。ところが、秋に補修したばかりの柵は、採草地との境界付近には破られそうな場所が無かった。奥の竹藪の中に、新しい糞が落ちていた。ずっと追跡していったら、北の崖側のバラ線が、大規模に破れていた。ここから、ずっと竹藪の中を歩いて、脱走したようだ。
 とりあえず、脱走経路が解って良かった。応急処置して、午後から修理に行ってもらった。
 
 俺は、近所の牛飼いさんの畑も、耕しに行った。いろいろあって、遅くなってごめんなさい。
 
 そのあとは、ラベルに書き込む仕事をした。書いていると、意識が朦朧としてくるんだ。