今日は、K君はおやすみなのだ。一人の時は、けっこう忙しいのだ。
 駆け足でルーティンワークをこなしながら、種付け準備をする。
 湾放牧地の種付けは、連動スタンチョンに繋いだまま行う。以前は、牛舎まで引いていたが、長期不受胎の牛が増えて、時間的に無理になったからだ。
 ここの連動スタンチョンは、斜面の一番底にあり、雨が降ると水たまりになって使いづらい。種付けとなると、なおさらだ。
 種付けの牛を、出来るだけぬかるみの浅いところに入れ、ロープで前に引っ張り、尻尾を固定する。
 陰部をアルコールで消毒したあと、膣鏡を挿入すると、尻を振り始めて、膣鏡が追いつかず抜けたりする。この時、始めは無理に追いつこうとしないで、様子を診ないと、鉗子や注入器具をぬかるみに落としてしまう。
 ちょっと落ち着いたところで、膣鏡を広げ、鉗子で子宮外口をつかむのだが、となりの牛の尻尾で、くわえている注入器を叩き落とされないように注意する。ときどき、となりの牛にお尻をピッタリくっつけて、中をのぞけないようにしたり、種付けに夢中になって、となりの牛に蹴られたりする。
 それでも、何とか二頭終わらせたら、もう昼前だ。大急ぎで後片付けをして、見回りに走るのだ。
 
 半年間島に来ていたジャンベ留学生が、今日それぞれの故郷に帰っていった。
 今回の留学生は、かなり助けられた。食事をする機会も多かった。みんな、元気でね!