放屁犬

 今日は、種付けをしなければならない。急いでルーティンワークをした。
 ついでに、鐘福太郎を、哺乳ロボットに入学させた。
 この子は、狙い澄ました正確な浣腸攻撃をしてくるので、久美次郎に哺乳している時、危険でしょうが無かった。普通、またの隙間に頭を入れてやると、そのまま落ち着くのだけど、この子はすかさず前の方に攻撃目標を発見して、正確で無慈悲な一撃を、下垂球にくわえるのだ。いつも、俺の作業着の股間は、鐘福太郎の唾液で濡れていて、気持ち悪かった。哺乳ロボットは、ちゃんと覚えてくれるかな?
 
 種付け六頭は、ルーティンワークとの両立が難しい。
 もっと慣れていれば、早く処理できるのかも知れないけど、俺の場合は、まず直腸から内診して卵胞の様子を探り、膣鏡と鉗子を使って、精子を注入する。使用した器具は、一頭終わるごとに洗浄し、アルコール消毒をする。牛の固定に時間が刈るけど、ちゃんと固定しないと、尻を振られてやりにくい。四カ所の放牧地を回って、六頭種付けしている間に、二時間くらいすぐに経ってしまう。腹減った!
 
 滅多に来ないチャーター機が、今日は二機も来ていた。
 
 どうでも良いことかも知れないが、ゴロウもカイトも、どういうわけか、俺の足下に来て、放屁する。
「ぶしゅ〜〜〜っ!」
 ちょっとビブラートがかかった、湿った音だ。臭いは、想像通りかも知れない! わりと頻繁に、ぶ〜〜〜っ! す〜〜〜っ!と、二頭で、臭い共演をしているけれど、腹の調子が悪い音はしてない。良いのかな?