鹿児島上陸

 久しぶりに島を出ることは、楽しみでもあるけど、不安も大きい。
 それでも競りに行きたがるのは、せっかく顔を覚えてもらえはじめ、牛も良くなってきたのに、競りに顔を出さないことは、かなりの損失だと思うからだ。子牛を高く買ってもらうだけで無く、民間の種を譲ってもらうためにも、良い牛を生産し、顔を覚えてもらう必要がある。
 今回は、K君が来てくれたので、競りに行くことが出来ることになった。今朝は、仕事内容の最終確認をしながら歩いた。きっと、何とかなるだろう。
 
 家に帰り、荷造りをして港に行った。すでに、切符の販売時間を過ぎており、船の中で切符を買った。
 意外に波が高く、船は揺れた。
 黒島の授精師さんを見つけたので、さっそく話しかけ、いろいろ貴重な話を聞いた。授精師なんて、講習ではあまり実習してくれず、しばらく先輩授精師に着いて学ぶものらしいが、硫黄島には授精師は俺しか居ないのだ。だから、学ぶチャンスがあったら、なりふり構っていられない。
 
 鹿児島では、第一の目的として、体のメンテナンスがある。
 とりあえず、整形外科に行って、両膝にヒアルロン酸を注射してもらう。潤滑油が入った状態になり、歩いても痛くないのは、ありがたいのだ。
 五十肩には、整体をしてもらう。施術中は、思わず声が出てしまうけど、かなり楽になる。
 痛みの無い生活って、嬉しいものだ。