出荷した後、子牛の部屋割りは、けっこう悩むのだ。
 適正出荷の為に、来月は早出しする子牛も含めて、9頭出荷になる。3頭ずつ3部屋に入れるべきかな? 母牛として残すふじつぼ(華春福産子)は、出荷牛と一緒にしておくと、過肥になるから避けたい。
 お産が済んだモトトボクミコやしげふく7も、そろそろ放牧に出したいが、小屋下放牧地は妊娠していない牛が16頭もいて、空きが無い。
 そう思っていたら、妊娠牛を放牧している大浦放牧地と飛行場のフェンスに空いた穴の修理が完了したと報告があり、脱走癖のある5頭の牛を、黒島崎放牧地から大浦放牧地に戻すことが出来た。これにより、黒島崎放牧地に空きが出来たから、小屋下放牧地から何頭か移動させてみよう。
 このような移動は、一人では面倒臭いのだけど、ちゃんとすることで管理が格段に楽になり、きめ細かい観察が容易になるのだ。

 島では、村が牧場や牛舎を作り、牛飼いをはじめたい人が入りやすくなっている。
 でも、牛舎を作る人と、そこで牛飼いを始める人の間では、それほどコミュニケーションがなされていないように思える。
 先日の、風向きと建物も向きのこともだけど、牛舎に監視カメラを取り付けることについても、何十万円もかけて設置するのに、携帯電話の通信を使おうとしていた。
 一応電話が通じるけど、牧場のある高台は電波が不安定で、電波塔に近い俺の所でさえ、電話がよく途切れるから、データ通信には向かない。しかも、カメラの画像を送信する為には、毎月5000円を超える通信量が発生する。これも、俺が利用を躊躇する原因の一つである。
 始め、3頭くらいから始める新規入植者にとって、まだそれほど利用価値のないカメラの為に、毎月5000円を超える通信量は重すぎるし、これは一度申し込むと、二年更新で簡単には止められない。
 そこで、『長距離用の無線LANアンテナを使い、飛行場までデータを飛ばし、そこから光ファイバーで送る方が、圧倒的に安定した画像が送れるし、通信料もかからない。』という提案を、役場の担当者に進言した。
 役場の中には、『畜産業の為に、光ファイバーを使わせるわけにはいかない!』という人が居るけど、産業振興の為に必要と言って、何十億円もの補助を取り付けた元村長の話しでは、島民のインターネットだけでなく、産業に使ってくれないと、勿体ないという言葉だった。
 俺は、使える物は最大限使って、利用し尽くすべきだと思うし、そういう例をみんなに見せることで、少しでも楽に牛飼いをする方法を提案するのが、俺の役目だと思っている。上手く伝わると良いな!