削蹄

 朝には、元気なゴロウに戻っていた。
 
 人手が足りないからといって、仕事を後回しにし続けるわけにも行かない。大急ぎでルーティンワークをこなしつつ、合間に機械の準備をしたり、削蹄の準備をする。
 削蹄の前に、引き牛の練習をした。今日は3回目なので、あまり抵抗なく練習できた。前回、徹底的に抵抗した光四郎は、今日は初めてすぐに覚えてくれた。引っ張って軽く着いてくる牛は、買われた先でもきっと可愛がってもらえるだろう。
 枠場に頭を突っ込んだ状態で、尻にこびりついた糞を、洗い落とした。洗っていると、ホースの水を尻尾ではじき飛ばしてくれるので、あまり綺麗出ない水でずぶ濡れになってしまう。尻尾を、紐で縛る。
 先に濡らしておくと、汚れが水でふやけて取りやすくなるだけで無く、蹄が柔らかくなるのだ。
 今日の牛達は、誰もひっくり返らなかった。親牛と違って、蹄が柔らかくて切りやすい。