我慢比べ?

 今日こそは、何とか飲んでもらいたい! 飲んでもらわないと、他の仕事が進まない! そう思って、気合いを入れつつ出勤!
 久美次郎は、立って待っていた。
 昨日一日絶食したわけだから、お腹は空き喉も渇いているはずだ。母親の母乳とは違うものだけど、子牛の嗜好を考えて作ったミルクが口に流れ込めば、きっと飲んでくれるはず! 
 あくまで、俺の希望的な見解だった。断乳二日目だから、俺は不退転の決意で臨んだ。時間をかけ、体を撫でて声をかけて、少しでも警戒心を解いてもらう努力もした。押さえつけると、逃げるだけなので、軽くホールドするように努力した。そのために、膝が曲がった状態で長時間耐えることになり、ただでさえ半月板が無くて痛む俺の膝は、悲鳴を上げていた。中腰の姿勢の為に、腰も痛い。
 だが、久美次郎は飲まなかった。喉が渇くのを促進する為に、配合飼料を口の中に入れて食べさせたりもした。これは、消化の為に水分を必要とするから、喉が渇くのだ。
 これだけ断乳していると、脱水症状が気になるのだが、意外におしっこは出ていた。ストマックチューブでミルクを飲ませることは出来るけど、それでずっと飲ませ続けることも大変である。ほ乳瓶を覚えてもらわないと、哺乳ロボットにも着けられない。ここは、我慢のしどころぞ!