愚痴

 昨日つけた二頭は、いずれも子宮外口の開口が大きく、かなり充血していた。これは、種付けのタイミングとしては、まだ早いかも知れない。
 と言うことで、今朝もう一度種付けした。
 今朝は、開口部が小さくなっていて、器具がなかなか通らなくて困った。もしかしたら、終わっていたかも?
 温度計が壊れていて、半年近く種が着きにくい状態になっていたけど、気がついて交換してから、それなりに種は着き始めた。そんな中で、未だに種が着かない牛もいる。長期間妊娠しないと、脂肪がついて妊娠しにくくなってしまう牛もいるのだ。これからは、こういう牛をどうやって妊娠させるかが、課題となってくるかも知れない。
 
 先日生まれたいおりを、超早期母子分離した。
 母親緑3ふくは、おっとりしたうしなので、いおりも俺に対する警戒心があまり無い。柵の外から声をかけると、好奇心に負けて近づいてきて、頭を撫でさせる。
 部屋の外に出しても、あまり狼狽えた風でも無く、お尻を押すと前に進んで、部屋まで歩いてくれた。
 夕方、、初めてのほ乳瓶でミルクを飲ませたが、10秒で最初の一口目を吸ってくれた。警戒心が薄い子牛は、扱いやすい。だけど、2リットル以上あるミルクだけど、1.8リットルしか飲めなかった。
 
 人の愚痴って、たぶん聞いていてそんなに気持ちの良い物では無いだろう。充分恵まれているのに、そこで愚痴を言うかい?と思うことも、よくある。
 でも、救いようのない環境で、まるで成果の見えない仕事を強いられていたら、愚痴くらい言わないと、心が潰れてしまう事だってあると思う。
久しぶりに、愚痴を聞いた。
 脳梗塞患者の看病で、体力的にも精神的にも限界に達しているのに、誰にも言うことが出来ないらしい。自分も手術を控えているのに、次々とのしかかってくる重圧に押しつぶされそうに見えたから、『どうぞ』と言ったら、堰を切ったように・・・。
 本来なら、俺も看病に行くべきなのだが、今の状況では無理なのだから、協力する代わりに愚痴を聞く役目くらいならいつでも引き受けよう! ひとしきり愚痴を言った後は、声が明るくなっていた。良かった。
 俺も、愚痴を言えない状況で、3年間看病に明け暮れたことがある。そんなとき、一番欲しいのは『ありがとう!』という感謝の言葉であり、自分のしている苦労に対する理解の言葉だった。
 中には、人に悩みや愚痴を言うくらいなら、黙って一人で耐える方がいいと言う人もいる。でも、そうで無い人もいて、人に話し『大変だね!』と言ってもらうことで、疲れが半減する人もいる。
 愚痴くらいなら、いつでも聞きますよ!