スタンチョン訓練

 予報では、晴れが続くから、二番草を刈り取ろうかと思うけど、発情した牛が居たら種付けしなければならないから、一人ではどうしても手が回らない。入れる場所が無いのもあって、無理矢理刈り取りって勢いが着かない。
 
 黄12ももしげは、うちの牧場に居る牛の中で、唯一スタンチョンに入らない。以前訓練したときは、ちゃんと頭を突っ込んで、挟まりながらも餌を食べていた。だが、出産後小屋下放牧地に放したら、頭を入れられなくなった。
 餌は欲しいので、鼻先だけ入れてみるのだが、そのままスタンチョンを閉じてしまい、餌にはありつけない。捕まらないから、餌もビタミンも補給できず、発情回復が遅れていた。
 しかたないので、捕まえて牛舎内の訓練施設に入れることにした。ここは、スタンチョンに首を入れないと、全く餌が食べられない。
 はじめの頃は、鼻先を突っ込んで長い舌で牧草を絡め取って食べていたけど、そのうち届かなくなったら、諦めて頭を突っ込めるようになった。
 上手く言ったときに、ご褒美を与えると、牛はよく覚えてくれる。牧草だけで無く、餌も与えて、頭をちゃんと突っ込めば、良い思いが出来ると覚えてもらう。
 
 発情していた二頭に、夕方種付けした。他の仕事を終えてから、二カ所の放牧地を移動しつつ種付けしたが、真っ暗になってしまうのだった。