てんこ盛り

 最初の予定では、友人の娘が帰る日だ。でも、二泊二日では、米村牧場は楽しみきれない! 大事な約束をキャンセルして、滞在延長をきめたようだ。
 そうとなったら、こちらも気合いを入れなければならない。
 まず、仕事をキッチリする。牧草を刈り取ったり、テッターをかけたり・・・。
 
 とりあえず、午前中の仕事を終えてから、急いで食事を済ませ、カヌーを引っ張り出した。荷物を積み込み、出発!
 恋人岬の東側は、凪でとても静かだった。でも、先端を超えてから、うねりがとても大きくなり、波に巻き込まれないように、岸から少し離れた。
 目的のタイドプールは、潮が引いていて、且つ波が砕けていて、侵入が困難だった。
 目的のタイドプールは、波の侵入も少なく、とても安全なところだ。二人に水中メガネとシュノーケルと水中カメラを貸した。綺麗な海に潜るのは初めての二人は、小さなタイドプールに居るベラやメジナスズメダイの仲間などの魚に、感動していた。それを見て、ちょっと安心して俺は外に出た。
 でも、波が荒く、外海は真っ白のシャンパンシャワーになって、全く前が見えない状態だった。メジナを一尾だけ突いた。
帰りは、さらに大変だった。
 波に逆らって、タイドプールからカヌーを引っ張り出し、俺が支えている間に、一人ずつ乗り込んでもらい、パドルを持って体制を整えたところで、俺が乗り込んで一気に脱出した。
 崖で反射する波に巻き込まれないように、少しは馴れたところを漕いだ。岬の突端の難所で、岩と崖の間をすり抜けようと全力で漕いだけど、数分間全く進むことが出来なくて、焦った。
 
 港に帰り着き、シャワーを浴びて牧場に出勤。30分遅刻した。
 種付けしたり、テッターをかけたりして、定時を過ぎてから、馬装して乗馬した。
 俺がソックスに乗って先導し、ポパイで着いてきてもらう。前を歩かれるより、ずっと自分で乗馬している感覚を味わえると思うが・・・。
 
 乗馬のあとは、温泉だ。
 今夜は、波も静かで綺麗な夜だった。月光に白く輝く波も、それはそれでとても綺麗だと思うけど・・・。