熱射病な日
朝方、にわか雨があったが、今日は良く晴れたのだ。こんな日は、麦茶の水筒を持ち歩き、水分を補給しないと、熱射病になってしまうのだ。
あまり覚えの良くない姫三郎だったが、三日目にしてようやく哺乳ロボットに吸い付くことを覚えてくれた。
超早期母子分離した御雪三郎は、昨夜はミルクを飲ませるのに時間がかかったが、今朝は素直に飲んでくれた。
英語のことわざにも、晴れている間に干し草を作れ! とある。
テッターで牧草をひっくり返す。二三回ひっくり返したかったが、いろいろ用事があって一度しか出来なかった。これが悲劇を生む!
家畜衛生保健所から、検査の人がやってきた。
一通り、口頭で質問を受ける。
御雪三郎が、ぐったりしているのに気がついた。
今日は気温が上がり、朝ミルクを2リットル飲んだ御雪三郎だけど、熱射病になったようだった。
霧吹きで体を濡らし、扇風機の風を当て、牛用の保水液を二リットル飲ませた。
しばらくすると、ちょっとだけ頭を持ち上げることが出来た。
黄色50(百合茂)みずほと黄色12ももしげの、段取り通報メールが昨夜来ていた。昼間に生まれて欲しいと思って観察していたら、昼過ぎにセンサーが抜ける前に、みずほの一次破水が起こり、苦しそうにしていた。初産なので、心配だった。
そのうち、足胞も出てきたので、手を突っ込んでセンサーを抜き取った。肛門から出血したので看たら、子牛の鼻先が引っかかっていた。押し戻して向きを調整する。
子牛自体はそれほど大きくないが、みずほの産道が狭いようだった。滑車を使い、少しずつ引っ張り出した。滑車を使っても、簡単には出てこなかった。
ようやく生まれたのは、普通サイズの雌だった。『なずな』(安福久)と命名した。
みずほは、力尽きて一時間ほど動けず、子牛は俺がタオルでこすってやるしかなかった。人工初乳を飲ませ、へその緒を消毒した。ようやく起き上がったみずほは、子牛のことがわからない様子だった。餌を振りかけても、近づこうとしなかった。難産した時、その辛い状況から、母性が消失する事があるが、今回もそうだったようだ。
なずなは、部屋から出すと、人の後を着いてどこまでも歩いてきた。
その後、ももしげも、雄子牛を出産した。