久々の海!

オイラの趣味は、素潜り漁だ。これが好きで、北海道の牧場時代、ずっと南の島に憧れ続けていて、とうとう牧場ごと引っ越してきてしまったくらいだ(^^ゞ
 でも、実際に南の島に引っ越ししてきたけど、いつも潜ってばかりいては、仕事に差し支える。実際、受胎率が低下している状況では、さすがに遊びに行くことは出来なかった。 昨日の妊娠鑑定で、改良した成果が表れたことで、かなり気が軽くなった。
 また、客人が是非とも魚を食べたいと言われ、プレッシャーをかけられていた。
 何ヶ月ぶりに、海に入ることにした。
 もちろん、仕事はきっちりして、昼休みに出かけた。
 午前中に、鼻紋取りをしたり、繁殖として残したのに、奇形で子宮口が二つあるふくまるを、出荷の為に港に運んだり・・・。
 久しぶりに出かけることで、かなりの不安があった。
 足ひれのゴムが切れかかっていたけど・・・。銛が錆びていないか? マスクはフィットするだろうか? 魚に会えるだろうか?
 
 海は、静かだった。
 入ってすぐ、水中マスクの曇りが取れないことに気がついた。通常は、唾液を付けて良くこすると、曇らないモノだ。恐らく、長時間放置されたことで、水垢が固着して曇ったようだ。温泉が湧き出す笹濁りの海だから、霞がかかって良く見えない。
 沖に出たら、水は透明になったが、曇りは消えない。ときどき、水を入れて洗いながら観察した。
 アオブダイやキンチャクダイ、ハマフエフキなどには会うけど、俺の獲物では無かったり、愛想が悪くて近づけない獲物だったり・・・。
 潮流が速く、かなり東に流されてしまった。岸際に戻り、引き返しながら獲物を探す。
 メジナとか居るんだ。でも、俺の銛は、かなり大物のメジナでないと、可哀想なのだ。50cm大のギンガメアジがやってきた。狙いを定めて・・・命中! 回遊魚用の、4mの長銛の威力発揮だ!
 と思ったら、なんと銛の先から獲物が外れてしまった。俺の銛は、命中すると先端が外れて、魚が暴れても外れないようになっているのに、なんで?
 よく調べたら、外れるはずの銛先が、さび付いて取れなくなっていた。これでは、抜けてしまう・・・
 水中で、何とか外そうと努力したけど、取れなかったので、帰るしか無かった。
 
 急いで帰り、シャワーを浴びて午後の仕事をした。
 ファーガソンにディスクモアを取り付け、ギニアグラスを刈った。
 午後の見回りをして、姫三郎にロボットのミルクを飲ませて・・・。姫三郎は、覚えが悪い。
 
 6時から、もう一度海に入った。
 マスクは、洗剤を付けたスポンジでこすって綺麗にしてあったから、全く曇ること無くクリアに見えた。残念ながら、温泉水の濁りは濃くなっていたけど・・・。
 固着した銛先は取ったけど、魚を貫通したあとは、簡単には取れなくなっていた。仕方ないので、貫通した獲物ごと海底に突き刺し、潜っていって回収することにした。
 夕方は、獲物が多い。メジナを三匹と、ギンガメアジを一匹着いて、持ち帰った。
 
 死後硬直をしていない新鮮すぎる魚は、俺の好みでは無いので、一匹だけ塩焼きにして、刺身は明日にした。