7月市場出荷の日

 出発準備で、一時まで起きていた。目覚まし無しだったけど、予定通り五時半には目が覚めた。なかなか便利な体になってきたなぁ!
 寝不足か? 頭が痛い。
 日が長くなって、すでに明るかった。
 トラクターにトレーラーを着けて、まず廃用のまつしまを運んだ。うちの牛たちは、廃用として出荷しようとすると、藪に隠れて出てこないことが多い。まつしまもそうだったけど、昨日のうちに探しだして、小屋に連れてきていた。捕まると、とても素直な牛なんだ! お疲れ様。
 出荷する子牛達に、化粧をもくしを着けて、トレーラーに積み込んだ。
 みんな、とてもいい子で、助かった!
 今回は、三頭。出荷予定だった、松島太郎は肩の治療のために、一カ月延期だ。廃用のまつしまの息子で、俺が人工受精師講習に出張中に生まれ、メスだと思ってみそらと名付けられていた。とても人懐っこく、従順で成長も良い。肩を痛めていなければ、今回とてもいい値で売れたと思うのに、とても残念だ。特に思い入れのある子牛は、売るとき高く売れてほしい。それは、商売としてだけでなく、思いを込めて育てた子牛を、評価してほしいという気持ちが込められている。
 もし方を痛めたまま出荷して、移動で転んで方をもっと悪くしてしまうと、売ることも連れ帰ることもできなくなるかもしれない。そういう恐れがあるなら、出荷せずに自分で肥育した方が良いとさえ、考えてしまう。
 
 船はあまり揺れなかったが、鹿児島は結構荒れていたらしい。
 伊集院に子牛を連れていく。俺の牛は、俺以外の人にも、素直に引かれてくれて、迷惑をかけることはなかった。