やっと晴れたという感じか? 朝起きたら、世の中はまだしっぽり濡れていた。湿度、ほぼ100%。地面も、柔らかくフニフニしていた。
 人間、湿っていても死ぬことはないけど、もうちょっと湿度が低い方が、不快指数は低い。
 牛舎の木製柱や柵を触ると、じっとりと水分を含み、手には黒い跡がつく。これは、カビというヤツでは無かろうか?
 
 人間が気持ち悪いときは、牛も気持ち悪い。
 昨夜降り込んだ雨で、敷きワラはたっぷり水分を含んでいた。今日も、敷きワラ交換するよ!
 昨日交換したばかりの電柱牛舎の敷きワラを、全部出して乾いた物に交換した。濡れた寝床は、気持ち悪いのだ。
 
 哺乳ロボット小屋の敷きワラも剥がしたいと思ったが、ボブキャットはエンジンがかからなかった。充電したいが、充電器がショートしていて使えない。
 仕方ないから、人力で剥がして、猫車で運び出した。頭数が少ないし、生菌製剤を使っていたから、臭いが少なく、ウジの発生も雨が降り込むところに限定されていた。
 床に堅く張り付いた板状の牛糞を、渾身の力を込めて引っぱがし、猫車に乗せる。アルミボディーの猫車だが、積み荷を満載して運ぶと、フレームがよじれていかにも壊れそうだ。何でもっと丈夫に作らないかな? きっと、製造メーカーの技術者は、非力な人ばかりなのだろう。壊さない程度に積んで、そっと運んだ。
 敷きワラは、まだ乾いていなかったので、草架の中で雨水を吸ってしまった牧草を、ほじくり出して持ってきて、床に敷いてやった。子牛たちは、とても嬉しそうだった。
 
 大牛舎の飼槽側の床も、剥いでやった。