6月市場

 競り当日だ。5時半にホテルを出て、朝食を取り、三島村役場に行った。6時前だと、モーニングセットが頼めないのは、不満だった。
 着いたらすぐに着替えて、牛舎の牛たちを捕まえ、体重などを書いたラベルを着けて、所定の位置に引っ張っていく。
 自分の牛を繋いだら、ブラシで牛を綺麗に磨く。扇風機で、牛舎の床を乾かすようになってから、うちの牛たちは綺麗になった。
 金ぐしで汚れを落とし、豚毛のブラシで艶を出す。去年に比べると、粒がそろって体格も良くなってきたが、あと5〜10kgくらいずつ、体重が欲しいな。
 
 お客さんが多いときはそうでも無いが、朝早くとか帰り際になると、値段がとても下がることが多い。
 今日の競りも、出足が悪かった。日増体が1kg以上の十分な成長をしている去勢が、なかなか40万円に達しない。やばいです!
  
 うちのトップバッターは、垂乳太郎だ(岡茂福)。なんと読むか? タレチチですよね? 本当は、垂乳根太郎と書きたかった。でも、書き損じたのか? 面倒だったのか? 垂乳太郎となってしまった。
 この子は、人懐っこいうちの牛でも、群を抜いて人が好きだ。高く売れようが、この子には関係ないのだけど、とても好きな牛だから、高く評価して欲しかった。同じような血統と増体の牛が、30万円台で競り落とされる中、垂乳太郎は、40万円を超えてくれた。頑張ったな! 別れるとき、思い切り撫でてやった。鼻が、ツンと来た。
 
 次は、あめり(岡茂福)だ。日増体は、わずかに1kgに届かない。でも、肩幅があって、俺は好きだ。この子も、俺が近くに来ると、俺の尻や背中をベロベロ舐めた。
 値段は、まぁ満足いく価格だった。ちょっとだけ、相場が上がってきたようだった。
 
 午後から、マドンナ(岡茂福)だった。あめりよりちょっと大きいが、日令もいっていて、肩が狭い。でも、上がってきた相場に助けられて、あめりとほとんど同じ値段まで上がった。
 御幸太郎(岡茂福)は、ちょっと小さいけど、血統は良かった。ちょうど相場が上がった時間帯だったので、垂乳太郎より高い値段になった。
 
 みんな、頑張ったね! ありがとう。