ビタミンやり

 K君と二人だったので、小屋下と灯台下の放牧地の牛に、ビタミンを飲ませて回った。
 牛だって、突然鼻輪を握られ、上を向かされて口をこじ開けられ、喉の奥にビタミン剤を入れた注射器を突っ込まれて液を流し込まれるのは、嫌らしい。厭がって顔を振る度に、俺はスタンチョンに体を叩きつけられて、あまり気持ちよくない。ロープで上を向かせてからやると、とても簡単で安全なのだが、頭数が多いとロープなんて使っていられない。
 だから、今日も痛い思いをしながら、ビタミン剤を飲ますのさ!
 
 牛舎の中で、育成牛のセナと、新人母牛のふくひめが、ささやかに発情していた。
 もっと大々的に発情してくれたら、良い発情と判断して良い種を着けられる。でも、チョロッとだけの発情行動では、あまり良い種を使えない。でも、中を覗いてみたら、確かに発情していたので、種付けに踏み切った。
 
 馬小屋作りを、頑張った!
 ナンの設計図も作らず、あり合わせの材料を使って作っていたのだけど、強度不足で人がメンテナンスの為に屋根に乗る強度がなかった。台風の時、屋根に大きな力がかかったら、壊れてしまうかもしれない。だから、せめて人が乗れる強度を確保することになった。
 80mm角の垂木を50cm間隔で取り付けたが、骨格となる角材の間隔が広すぎる。
 悩んだ末、補強用の角材を入れることにした。工法は、ハッキリ言って我流である。でも、実際やってみたら、安心して歩ける強度の屋根になった。
 俺の古い工具箱の中から、錆びた木工ドリルを見つけ、ダメ元で使ってみた。ところが、まだ刃が生きていて、あっという間に穴が空いて、驚いた。