穴を掘る

 4時過ぎに帰り、汚れた包帯を取り替え、傷口を洗って処置をして、ようやく寝た。でも、朝7時40分の、揚水ポンプスイッチ入れは、欠かせない。
 
 子牛の亡骸は、本土なら検査した後、処分されるが、島ではそんな設備が無いから、埋設処理することになる。
 スコップで、穴を掘る。掘る位置を間違えると、すでに先客がいることがあるから、注意が必要だ。
 北海道で牛飼いをしている友達は、死んだ牛を生めるのに、機械では無くスコップを使い、一掘り一掘りその牛のことを思いながら、掘るのだと言っていた。とても情の深い人で、牛をとても可愛がる。しみじみ聞いていたが、よく考えたら、北海道で死亡牛を勝手に埋めるのは、違法である。
 友人は、翌日スコップで、埋めた牛を掘り返していた。

 哺乳ロボット小屋のこころが、咳をしていた。注射をしてやったのだけど、牛は俺を見て、また注射の人だと思って逃げた。
 これは良くないから、糖蜜を飲ませることにした。でも、飲みに来たのは、こころと春幸次郎だけだった。これは拙い! これからしばらく、ロボット小屋の子牛たちに、糖蜜を訓知しなければならない。

 牛を太らせるには、栄養価の高い牧草を飽食させると良い。
 北海道の時と違い、乾草にはそれほどゆとりが無い。そこで、青刈りのイタリアンライグラスを使う。穂が出始めたので、出来るだけ早く刈り取らなければならない。
 と言うことで、収穫かごにぎゅうぎゅう詰めで、30個分も牛舎と放牧地に運んだ。
 牛は、配合飼料より青刈りイタリアンライグラスの方が好きである。重たくて大変な作業だけど、牛が喜ぶからねぇ。