簡易草架

 まだ成長途中の育成牛や、発情回復を待っている牛たちのために、見回りの時のエサを増量し、イタリアンライグラスもたっぷりあげた。もちろん、他の放牧地も頑張って多めに運んだ。
 イタリアンライグラスを食べている牛の姿は、とても幸せそうだ。食べ終わった後、放牧地に向かわない所を見ると、意外に満足しているのかも知れない。

 灯台下にいた緑3ふくが、右後ろ足を引きずっていた。
 放牧牛にとって、足を痛めることは、生存の危機でもある。蹄が伸びていたので、歩くのを厭がるふくを、牛舎の枠場まで引いて帰り、削蹄機で堅く伸びすぎた蹄を削った。
 先日怪我したのも、削蹄機を使っている最中だったので、牛の保定は入念に・・・後ろ足を滑車で吊り上げて・・・と、滑車に下痢を練り着けられてしまった。

 アルバイトのK君もいないし、コンスタントに大量のイタリアンライグラスを運ぶのは、難しい。だから、湾放牧地に、簡易草架を作って、ロールを入れてやることにした。草架が無いと、ロールがほぐされ、上に寝て糞尿をたれるから、2割近い乾草が無駄になる。だが、草架があるとほとんど無駄なく利用されるのだ。
 草架は、買うと高いので、在庫してあった古いタイプのバラ線用支柱を、ロールの回りに立てて、草架代わりにした。これは、小屋下放牧地でも利用していて、とても上手く機能していた。

 朝、残念ながら発情していたきぼうに、種付けに行った。
 牛の群れはいなくなっていたのだが、瀬棚から連れてきたももかが、希望により添って待っていてくれた。ももかは、瀬棚にいる頃から、牛達の間ではとても人気があったが、こういう面倒見の良さだからだろうか?
 だが、種付けが終わったきぼうは、待っていてくれたももかを置いて、さっさと群れに向かって小走りに去って行った。