テレビに出た。

 今日は、体重測定日だ。それほど早く行く必要は無いのに、暇だから6時半には、ホテルを出た。早く出ると、道が空いているから、とても早く着くのだ。

 十島村の人が来ていたので、餌を借りる話をしたら、快く二袋貸してくださった。ありがとうございます。

 体重測定のために、牛を繋ぐ。今月は、三島村からはたった12頭しか出荷されなかったので、あっという間に終わってしまった。
 姫次郎がまあまあ、ナナがもうちょっと、まめこは名前が良くなかったか、とても小さかった。

 急いで串木野の浜に行こうと思ったが、友人はまだ出発していないとのことだったので、いったん鹿児島に帰り、犬の餌を買って船のコンテナに入れた。
 でも、特にすることが無いので、やっぱり浜に向かった。
 場所はすぐに解った。駐車場に車を入れたら、林の中に馬が居た。近づいてみたら、ポニー祭りの時にソックスを売って欲しいと言っていた馬主さんだった。練習に来たのかと思ったら、撮影も兼ねているとか・・・。

 すぐに、NHKの人もやって来た。先日、事前取材を受けた美人アナウンサーも一緒だ。
 でも、肝心の馬が来ない!
 2時半の約束だとNHKの人は言っていたが、馬事公苑を出たのは2時とか・・・。周りの人も、何でそんなに遅く出たのかと不審がったが、ちゃんと理由があった。
 実は、今日の取材は生放送であり、放送時間は6時40分頃とか・・・。知っていたら、俺も子牛達の餌をやってから来るはずだったのに・・・。
 要するに、7時近くまで拘束されるから、馬たちのためにできるだけ拘束時間を減らす目的で、遅く出発したのだ。さすが、馬のことを最優先で考える調教師だ。

 馬運車がやって来た。
 ポパイは、興奮して汗をかいていた。落ち着かせるために、クラブの子が歩かせていたが、ポパイは俺を見て嬉しそうだった。
 すぐに馬装して、防砂林を抜けて浜まで乗っていった。落ち着いている。でも、波打ち際に行くと、やはり怖いようだった。
 波を怖がる馬を慣らすシーンが撮りたいから、ポパイは水に入らないで欲しいと言われたので、入りたいのを我慢する。
 波打ち際を、グラチャンに乗ったクラブの子と一緒に、ゆっくり散歩した。
「こうやって、浜辺を散歩するのも、気持ちいいですね!」
などと言われても、誤解してはいけない!
 軽速歩で往復し、徐々に駆け足をした。ポパイは、学習能力が高いので、海中に入らなくてもすぐに慣れた。
 他の馬と、競争してみた。
 いつも競馬上がりのブランカ(ソックスの母親)やマロン、運動神経抜群のオリーブと競って走っていたポパイは、意外に足が速いのだが、抜いて前に出ようという闘争心は無い。着いて走れても、追い越そうとするとブランカ達にかなうはずも無いし・・・。

 ポパイが飽きてきた頃、ようやく第一回放送のリハーサルと本番があった。
 このときは、エキストラとして波打ち際をウロチョロする役だったので、指定通りに動く。全国放送だったらしいが、写ったかな?

 それから1時間もあったから、ポパイのイライラを解消するために、下馬して引いて歩く。
 最後のリハーサル。強いライトで照らされて、警戒気味のポパイ。でも、アナウンサーが紹介する間、大人しく立っていて、ミニレースの練習もちゃんとできた。入水のリハもあって、戸惑いつつ入ったのだが、一度入ったら次は戸惑わないんだよなぁ・・・。

 さて、本番だ。
 ポパイの集中力が途切れないよう、俺も集中力を高める。硫黄島から海を渡ってやって来たポパイと紹介される間、大人しくできた。ミニレースも頑張って走った!
 引き返して、海に入るシーン。
 思った通り、ポパイはなんの抵抗も無く海に入ろうとしたから、先ほど戸惑っていた通りの仕草を再現してやった。サービスしすぎか?

 撮影が終わり、解放された。
 馬装を解き、馬運車に乗せて、後はクラブの子達にお願いして、子牛の餌やりのために伊集院に向かったのであった。

 帰り際、美人のキャスターがやって来て、俺の連絡先を聞いたが、誤解してはいけない!
 放送を見れない俺のために、DVDを送ってくれるそうだ。
 ありがとう! ポパイ、お疲れ様。