ソックスの旅!
串木野浜競馬に出場させるために、ソックスを鹿児島に連れて行くことになっていた。
馬具を段ボール箱に梱包し、コンテナに積み込み、俺とソックスと馬具の運賃を払う。全部で一万円ちょっとだった。
牧場に上がり、ソックスにホルターを取り付ける。
生まれて以来、保護者のポパイから離れたことの無いソックスは、引かれてだんだんポパイから離れていることが不安になり、盛んに鳴いた。でも、俺を引き倒して逃げようということは無かった。
300mくらい歩いたら、ソックスも慣れて落ち着きを取り戻した。港まで約1キロを、歩いて行った。コンテナにも、大人しく入り、ちょっと不安だけど暴れることは無かった。
船が入港し、ロープを飛ばす炸裂音とか、フォークリフトの音とか、不安はあったろうに、自分を失わずに耐えていた。
コンテナごとクレーンで吊り上げられ、後部甲板に置かれたソックスは、遠目には不安そうに見えた。
ポパイのケアも、大切だ。
かつて、沢山いた仲間を、一度に連れて行かれてたった一人になったときの寂しさを、彼は覚えているはずだ。でも、彼はいつか仲間が帰ってくると信じて、一人待ち続け、再会を果たした。あのときのポパイは、嬉しそうだったなぁ。
すぐにまた会えるからね(^_-)-☆ 沢山声をかけるようにお願いしておいた。
ちょっと早めに、港に着いた。
約束の時間に来た馬運車には、T君とマリリンが乗っていた。
ソックスは、ポパイの乗っている馬運車には乗ったことがあるが、単独で馬運車に乗るのはこれが初めてだ。当然、抵抗する。馬の専門家であるT君によると、ソックスはとても自信を持っており、人に従わせるのは大変らしい。
実際、人間との地位関係を明らかにするホルターブレーキングでは、通常30分もあれば人には従うものだと理解して、とても従順になるものなのだが、ソックスは二時間も抵抗し続け、丸馬場内を走り続けた。簡単にはくじけない、気高い心を持っているのだ(扱い難いってこと)。
今日も、三人がかりで馬運車のスロープを上らせようとしたが、ひたすら抵抗し続けた。
尻の後ろにロープを張って、坂を登るしか無いようにするのだが、後ろ足で立ち上がって逃げてしまう。
それでも、最後は他に道が無いと判断して、スロープに足をかけ、自分から登ってくれた。馬は、自分の意思で行動したら、次からはちゃんと出来る。
T君は、丁寧な運転で、馬運車が嫌いにならないように気を配りながら、馬事公苑に向かった。
到着し、馬繋ぎに繋がれたソックスは、意外に落ち着いており、タオルで濡れた体を拭いてもらう。そして、馬房に入れられる。
これまで、完全昼夜放牧で、北海道時代は解放馬房があったが、こちらでは屋根さえ無いところで放牧されていた。自由ではあるが、過酷でもある環境で育った彼女は、保護された馬房をどう感じるだろうか?
与えられた初めて見る餌を、ちょっと警戒しながらも、ちゃんと食べていた。度胸が据わっていると、ほめられていた。
T君の調教した馬に乗ったことがあるが、とても乗りやすかった。ソックスも、そんな馬になってくれたらなぁ!
馬の餌を与え終えた人間達は、マリリンお勧めのスープカレー屋さんに向かった。
意外にさっぱりしていて、美味しいんだ。これが・・・腹一杯食べたかったが、我慢した。
そして、なぜかボーリングに行った。十数年ぶりだろうか?二ゲームして、合計で199点だった。だって、指が太くて、ちゃんと入らないんだもん!