昨夜は、大変だったらしい。
 夕方、駆けつけ通報メールで呼び出された従業員さんは、分娩から子牛が立ち上がり母乳を吸うまで見守り、家に帰ったのは10時半だったそうだ。
 帰るとき、分娩予定日を過ぎたフジと、みゆきの様子に、変化が無いことを確認している。
 コーヒーを飲んで風呂に入っていたら、メールの着信音がして、上がってみてみたら、フジの駆けつけ通報メールがまた来ていた。先ほど、異常が見られないことを確認したばかりだったし、段取り通報メールも届いていなかったから、ただ抜け落ちたためとも受け取れた。
 俺もメールを受け取りグラフを見たら、ここ数日のデータから見ると、直前に体温が下がっている様子が見られないが、前日と比べると明らかに下がってるようにも見える。申し訳ないが、一時間くらいしたら、様子を見に行って欲しいと指示するしか無かった。
(以下、従業員さんからの報告)
 12時に牛舎に駆けつけると、ふじのいる部屋には、抜け落ちたセンサーは目に入りましたが、他は何もない?
 餌箱のところにふじがいました。壁の真下にふと目をやると、そこにはカイトくらいの大きさの子牛がよじれたようなぐにゃりとした格好で横たわっていました。
 異常な感じが漂い、焦ります。首がねじれている状態で息をしているのかも定かでない様子・・・
 ふじは一生懸命舐め始め、ようやく子牛は自力で首のねじれをなおしましたが、四肢がだらりとのびきり動きもほとんどありません。
 大豆の粉をふりかけ、ふじに舐めさせますが、状態は改善せず、私もタオルで拭きにかかりました。体は冷たくなりつつあります。
 これはダメだと判断し、抱きかかえて親から離し、子牛部屋へ。必死で体をこすると、少しづつ頭をあげることができました。四肢は相変わらずだらりと伸びたままです。
 牛衣を着せ、毛布で包んで体を起こし、1時間かけてなんとか「さいしょのミルク」を8割ほど飲ませました。
 4時を過ぎたので、心配ではありましたが、家に帰ることにしました。

 朝、7時半すぎに行って見ると、生きてた!!
 でもまだだらりとしていて、最初に見たときは死んでいるのかとドッキリでした。
 もう一度「さいしょのミルク」に挑戦。30分でほぼ全量飲めました。でも体を動かすことはほとんどなく、もちろん立ち上がりません。

 午後に行くと、私の声を聞き、私を見て鳴いてみせてくれました。声は出ないのですが、なんとかわいい顔でしょう!
 立たせてみると、少しの時間、ひとりで立つことができました。奇形ではないようです。
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 電話連絡して、ロビーで待ち合わせし、チェックアウトした。荷物を持って、モスバーガーに行く。朝食を頼み、従業員さんが電話注文した物を受け取る。その注文金額は、3300円? 二人でどんだけ食べるのか?ミスドで、5000円分買って、港に向かった。
 牧場体験の女の子を、これからなんと表記しよう。サマンサのようなコードネームが欲しいなぁ。正式に決まるまで、ホークかな? これでは、男の子みたいだ。
 ホークを、知り合いの人たちに紹介し、水中翼船を知らないと言うので、屋久島行きの乗り場に連れて行く。
 出港してしばらくは、船の中を案内したり、座って話をしたり・・・。でも、錦江湾を出てからは、ちょっと揺れ始めたので、寝転がった。
 竹島に到着し、晴天だったのでデッキに出た。硫黄島に帰ったら、仕事が待っているので、モスバーガーを昼食代わりに食べる。その後は、デッキに出て、煙を吐く硫黄島を眺めた。でも、小さなホークには、外の風が冷たすぎた。冷えて頭が痛くなったそうなので、艦内に入る。
 島に降り立ち、ホストマザーになる従業員さんに、ホークを任せて家に向かう。途中で牛乳を買おうとして、財布が無いのに気がついた。慌てて船に引き返したが、間もなく出港という所だった。探してもらったが、見当たらなかった。いろいろ入っていたので、ちょっとうんざりだ。お金も、落とすくらいなら全部使ってくれば良かった。
 
 獣医さんが来ているので、まずはワクチン接種から始めた。
 妊娠鑑定もしてもらう。不安だった老牛が妊娠していたのもあるけど、やっと妊娠したのでは無いかと期待していた牛が外れで、廃用を決意しなければならないのも居て、一喜一憂する鑑定結果だった。
 獣医師志望のホークには、他の農家を巡回する獣医さんに着いて、治療の見学をしてもらった。