牛引きの日

 朝から、税務申告の相談に行った。かなり深刻だった。
 見回りの時、赤3なつしげを、湾放牧地に引いて行った。人なつっこいなつしげは、俺の尻に鼻を着けて、ロープに全く力を入れる必要が無かった。写真を撮ろうとしても、俺の陰に顔が隠れるので困るほどだった。初めての放牧なので、ちゃんと馴染めるだろうか? ちょっと心配だった。

 大浦放牧地から、赤17いずみと青15あきひめを引いて帰った。
 いずみは、なかなかスタンチョンにも入らなかった問題児で、引っ張るときも、かなりの力で引っ張らないと、動こうとしなかった。手で引っ張っても動かなければ、車で引くから楽なのだが、手で引くから大変だ。ほとんど力のいらないあきひめと二頭まとめて引いたが、かなり疲れた。部屋に入れる前に、いずみは削蹄してやった。
 育成牛のれいことみずほを、湾放牧地にだし、空いた部屋にいずみとあきひめとはるゆきを入れた。スタンチョン調教をするためだ。はるゆきが最も手こずると思っていたが、実際はいずみが入らなかった。
 れいことみずほを引っ張って、また湾放牧地に歩いていたら、前から牛が歩いてきた。よく見ると、なつしげだった。不安そうに歩いていたが、仲間の牛や俺たちを見て、嬉しそうに駆け寄ってきて、一緒に湾まで歩いて帰った。仲間がいれば、帰ってこないかな?

 先日作った、簡易草架を見た。
 これまでは、牧草ロールをそのまま置いていたので、食い散らかされ、無駄になる牧草が多かった。今日、見た感じでは、敷きワラになってしまう牧草も少なく、無駄が減りそうだった。支柱も倒されていない。ちょっと良さそうで、嬉しかった。

 春幸次郎(亀勝)を、哺乳ロボットデビューさせた。他の子牛と、二週間以上違うけど、引けを取らない大きさだった。
 俺がいないとき、従業員さんが助産して生まれた春幸次郎だが、ミルクの飲みも、エサへの食いつきも良く、俺には一切触る隙も無く世話をしてくれている。大きくなると良いなぁ。広い哺乳ロボット小屋で、嬉しそうに跳ね回っていた。

 丸美太郎(華春福)を、超早期母子分離した。
 部屋から出して、駆け出さないようにロープをかけるけど、引っ張るのでは無く、抱きかかえる様に移動させる。